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2017年の半導体市場は明るい見通し前年比5%の成長予測

ウォール街のアナリストによれば、2016年はわずかに縮小傾向にあった半導体市場が2017年には好転するようだ。ドイツ銀行は、2017年の半導体市場は前年比5%の成長を遂げると予測している。

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2017年は好転

 ウォール街のベテランアナリストによると、2016年の半導体業界はわずかながら縮小傾向にあったが、2017年は通常の成長レベルまで回復する見込みだという。他の市場専門家たちも、2017年は好転すると予測しているが、2016年についても、PCやメモリの需要が増加していることから、横ばいか、またはわずかに上昇するとみているようだ。

 Deutsche Bank(ドイツ銀行)のRoss Seymore氏は、最近発表したレポートの中で、「2016年の世界半導体市場は、約1%縮小するものの、2017年には5%の成長を遂げるとみられる。2017年に最も急激な成長が予測されるのはデータセンター市場で、前年比10%増となる見込みだ。さらに、自動車市場が9%増、通信市場が7%増と続くだろう」と述べている。

 また同氏は、「2017年のPC市場は大きく低迷し、2%縮小するとみられる。ドローンやVR(仮想現実)などの新興市場が好調であることを受け、業界全体が成長することにより、民生および産業市場は約4%成長する見込みだ。このような成長の大半は、2017年前半に実現するだろう」と述べる。

 一方、世界半導体市場統計(WSTS)は、最近発表した最新予測の中で、もう少し緩やかな成長を見込んでいるようだ。2016年の半導体売上高は3349億5300万米ドルで、2015年からは0.06%減と、ほぼ横ばいになると予測する。2017年の売上高は前年比3.3%増、2018年は同2.3%増を見込んでいるという。

 アナリストであるMike Cowen氏が提示したデータによると、2016年の中で5月の売上高が最も低く、6.2%減となっているが、それ以降は全体的に着実に回復傾向にあるという。Cowen氏の予測では、2016年の世界半導体売上高は0.48%減少するが、2017年には4.66%増となる見込みだ。


2015年および2016年の半導体売上高。アナリストであるMike Cowan氏が、WSTSのデータと自身の予測に基づき作成したもの

 市場専門家たちは2016年1月に、半導体市場成長率について予測を発表しているが、−3〜4%と大きく幅があった。この中には、2016年初頭に業績悪化を発表する企業が続出したことを受け、予測を下方修正し、秋ごろに好調に転じ始めると再び上方修正するというケースもあった。

 Deutsche BankのSeymore氏は、「ここ数カ月間で、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収のように、業界を一変させるような大規模な買収がいくつか続いたことから、半導体業界のM&Aは2017年前半に、いったん収まるのではないかとみている。一連のM&Aにより、半導体業界の株価は、過去10年以上の中で最高レベルの相対的業績を達成している」と述べている。

 Seymore氏は、「2017年以降は、トランプ政権が米国の法人税を下げる取り組みを進めていくとみられるため、一部のチップメーカーがその影響を大きく受ける可能性がある」と述べている。

 IntelやTexas Instruments(TI)、Linear Technology(Analog Devices[ADI]が買収を発表)は、法人税率が比較的高いことによる潜在的な恩恵を最大限に受ける。一方、Linear TechnologyやADI、NVIDIAは、海外に膨大な現金残高を保有していることを前提すると、海外からの送金を受けることでメリットを享受している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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