Micronが好調、順調な3D NAND開発が高評価:3D XPointの実用化は未定でも
Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)の2017会計年度第1四半期の業績は、金融アナリストからはおおむね評価されたようだ。とりわけ、3D NANDフラッシュメモリ技術開発への評価が高いようである。
3D NANDフラッシュ技術を評価
Micron Technology(以下、Micron)は2016年12月21日(米国時間)、2016年12月1日を末日とする2017会計年度第1四半期の決算発表会を行った。参加した金融アナリストらの反応は、おおむね良かったようだ。Micronが開発中の3D NAND型フラッシュメモリ技術が、高い評価を得た理由だという。
EE TimesはMicronのカンファレンスコールの後、Objective Analysisの主席アナリストであるJim Handy氏に電話インタビューを行った。Handy氏は、「Micronの強みは、3D NANDフラッシュ技術の開発が順調に進んでいる点だ。他のベンダー、とりわけSamsung Electronicsは3D NANDフラッシュの開発に苦心しているようだが、Micronは確実に進歩している。ただし、Micronにおける3D NANDフラッシュへの移行期間は、新たな設備を調達する必要があるので、長くなるとみられる」と述べた。Handy氏によると、Micronはシンガポールに新しい製造施設を建設することも計画しているという。
同氏は、他のベンダーが電荷トラップ型に着目する中、Micronが浮遊ゲート(フローティングゲート)型を採用した点が、Micronの優位性につながったとみている。
MicronのCEOであるMark Durcan氏は、「市況が活性化し始めた2016年秋にいったん業績予想を修正したが、今回の2017年度第1四半期の業績がそれを上回った」と述べた。全ての事業分野で売上高が増加しており、次の四半期も同様の傾向が期待できるという。
Durcan氏によると、Micronはサプライヤーがウエハー生産量を大幅に増やすことはないという推測の下、2017年のDRAM供給量は、ビット換算で前年比で15〜20%増加すると見込んでいるという。長期的には、DRAMビット供給量はおよそ20〜25%伸びると予測されている。
NANDフラッシュについては、2017年の供給量が前年に比べて30%台後半から40%台前半で増加すると見込んでいる。Durcan氏によれば、これは3D NANDフラッシュへの移行による影響を踏まえた予測だという。
Micronの2017年度第1四半期の売上高は39億7000万米ドルとなり、前四半期比で23%、前年同期比で19%、それぞれ増加した。Micronは、売上高が23%という飛躍的な伸びをみせた主な要因として、販売台数がDRAMでは18%、NANDフラッシュでは26%、それぞれ伸びたことと、DRAMの平均販売価格(ASP)が5%上昇したことを挙げた。
3D XPointの出荷が鍵
Handy氏は3D XPointについて、量産を開始し、3D Xpointの市場を作り上げる必要があると説明している。「技術を実用化しなければ、Micronのメモリ事業にとっては打撃となるはずだ」と述べた。
![](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/1701/05/mm170105_micron.jpg)
「3D XPoint」を搭載したSSDのプロトタイプ(インタフェースはPCIe Gen3)では、読み出しレイテンシが20マイクロ秒以下、書き込みレイテンシが10マイクロ秒になったという。これは既存のSSDの約10倍になるとしているが、実際の製品はまだ出てきていない
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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