ヘッドユニットからチューナーを取り除く技術:車載チューナーをアンテナ近傍に(2/2 ページ)
Maxim Integrated Productsは2017年1月、自動車用途向けにアンテナ近くにラジオチューナーを配置するシステム技術を開発し、同システムを実現するIC製品群の販売を開始した。
アンテナ+チューナーに必要なICを1社で網羅
こうしたリモートチューナーソリューションを実現するIC製品として、アンテナからの入力信号を復号、デジタル化するチューナーIC「MAX2175」を製品化。MAX2175に、GMSL用のデシリアライザーIC「MAX96708」、同シリアライザーIC「MAX96711」、さらに電源IC「MAX15027」「MAX20002」を組み合わせることで、リモートチューナーソリューションを構築できる。「アンテナ+チューナー部に必要なICを全てそろっている。こうしたワンストップソリューションを提供できるのも、Maximならではの特長だ」と言い切る。
GMSLの通信速度は、最大3Gビット/秒で「8台のチューナー信号でも、1本の同軸ケーブルで伝送できる容量、速度を備えている」という。また「GMSLは、イーサネットケーブルよりも半分程度の細い径の同軸ケーブルで、電源も同時に伝送できる。他の車載ネットワーク技術よりも、実装が簡単で、細いケーブルで配線数を少なくできる利点がある。これまで、車載ディスプレイやカメラなどの映像伝送で広く活用され、車載分野のニーズに応えてきた。今後は、チューナー領域でもGMSLの活用が広がることになる」とする。
なお、MAX2175は、ベースバンド処理をルネサス エレクトロニクス製車載用LSI「R-Car H3 SoC」などでソフトウェアによって行うことのできるSDR(ソフトウェアラジオ)方式を採用。ソフトウェアの変更で、DAB、FM、AM、DMB、DRM+、FM-HDなど「世界各国のアナログ/デジタルラジオ規格に対応できる」とする。MAX2175は、48ピンTQFNパッケージを採用し、サイズは7mm角になっている。
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