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抹殺する人工知能 〜 生存競争と自然淘汰で、最適解にたどりつくOver the AI ―― AIの向こう側に (7)(12/13 ページ)

“人工知能技術”の1つに、生物の進化のプロセスを用いて最適解へと導く「遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)」があります。25年ほど前に私が狂ったようにのめり込んだ技術なのですが、世界的にもファンがたくさんいるようです。そして、このGAこそが、私たちがイメージする“人工知能”に最も近いものではないかと思うのです。

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江端が考えた高速GA計算法

 ところで、染色体というのは詰まるところ、1次元のビット列です。1次元のビット列を扱っているモノといえば、コンピュータそのものです。ならば、コンピュータのアーキテクチャを、そっくりそのままGAに使ってしまおう、という発想で案出したものが、以下の江端発明です。

 コンピュータリソースが貧弱だった当時(CPUも遅く、メモリも少なかった)、なんとか大量の染色体を使って、高速にGAの計算させたいという私の執念が、こういう発明を生み出しました。

 コンピュータリソースが、売りに出すほど有り余っている(仮想化とか)今とあっては、このような姑息な工夫は必要ないかもしれませんが、今でも十分に使える発明ですので、興味のある方は試してみてください。

 上記は、同じ特許明細書に記載された、GAによる多峰関数の探索問題の例です。GAが、あっという間に、一番高い山の頂上を見つける、という内容になっています。発明の効果を、特許庁の審査官さまにご覧いただくために、わざわざ作った問題です。

 しかし、「関数の山の頂上を見つけたら、それが何だと言うのだ?」と言われたら、グウの音も出ません。なぜなら私は、「人工知能が、猫を認識したり、将棋や碁で勝ったりしたら、それが何だと言うのだ?」(第2回「我々が求めるAIとは、碁を打ち、猫の写真を探すものではない)と言ってきた、当の本人なのですから。

 実際のところ、特許明細書に「技術の効果」を記載するのであれば、この度、本発明の「クリスマスデートスケジュール問題」で理想の彼氏/彼女と結婚できました、と、特許庁審査官さまにご報告するような、実施例を記載しなければならないでしょう。

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