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野武士・加賀電子「M&Aで商社再編を主導する」半導体商社トップインタビュー 加賀電子(1/3 ページ)

2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、加賀電子で社長を務める門良一氏に聞いた。

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半導体商社は、業界再編の波にどう立ち向かうか

 独立系の半導体商社として1968年に創業し、半導体・電子部品・情報機器だけでなくEMS(電子機器受託製造サービス)や、多くの新規事業を展開するのが加賀電子だ。

 半導体メーカーの再編が相次ぐ中、長年“再編必至”と言われ続けてきた国内半導体商社。加賀電子は、2015年11月に過去最大規模の合併話となるUKCホールディングス(UKC HD)との経営統合を発表。両社の売り上げを合算するとマクニカ・富士エレホールディングスを上回る、国内最大規模の半導体商社となる見込みだった。しかし2016年4月、両社は「諸条件の合意に至らなかった」との理由で経営統合を中止している。

 戦略の変更を余儀なくされた両社だったが、加賀電子で社長を務める門良一氏は「今後M&Aを積極的に行い、半導体商社の再編を主導したい」と力強く語る――。

少量多品種生産を掲げるEMS


門良一氏

EE Times Japan(以下、EETJ) 最初にUKC HDとの経営統合中止について、何かコメントをいただけないでしょうか。

門良一氏(以下、門氏) 機密情報に関する取り交わしがあるため、コメントはできない。

EETJ 2016年度上半期は、売り上げが前年同期比10.8%減の1096億5900万円、経常利益が同31.2%減の30億4500万円となりました。

門氏 前年比較で減収減益だが、当初の予想よりも好調に推移したため、2016年10月に連結最終利益を47億円から58億円へと23.4%上方修正して、増益を確保している。

EETJ 具体的に何の分野が好調に推移しましたか?

門氏 低迷気味だったEMS(電子機器受託製造サービス)事業の遊技機器向けが、国内で思ったよりも健闘した。海外向けには、空調機器や車載機器などが当初の予想を上回った。またグループ再編により、法人税等調整額の減少が利益に貢献した。


事業部門別の業績推移 (クリックで拡大) 出典:加賀電子

EETJ 加賀電子の特長や強みについて、あらためて聞かせていただけますか。

門氏 当社は「すべてはお客さまのために」という経営理念を掲げている。顧客のために動くことが最優先だから、仕入先からは嫌われる面も一部あるだろう。

 仕入先であるベンダーから見ると「なぜ、自社の製品を買ってくれないの」と思うかもしれない。加賀電子は顧客のために動くから、納期に間に合う製品を選択している。大手ベンダー系列の商社は、そのベンダーの製品しか売ることはできない。独立系である加賀電子の強みは「すべてはお客さまのために」を徹底できることだ。「ベンダーの言うことを聞かない加賀電子」などと言われ、弱みでもあるのだが……(笑)

 他にも、商社としてのビジネスだけでなく、完成品の販売や修理、コールセンターなど全てをカバーする「ワンストップサービス」を提供していることも特長である。

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