野武士・加賀電子「M&Aで商社再編を主導する」:半導体商社トップインタビュー 加賀電子(2/3 ページ)
2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、加賀電子で社長を務める門良一氏に聞いた。
SIGFOX対応のハードウェアを開発
EETJ EMS事業は拠点を増やしていますね。
門氏 メキシコに北米向けEMS拠点として、2016年12月に法人を設立した。実際の稼働は2017年4〜5月を予定しており、空調や車載、事務機器を手掛ける顧客を既に獲得している。今まで組み立て工場だったチェコ工場は、欧州顧客向けに基板実装まで行えるよう2017年4〜5月に表面実装ラインを増設する。インドやベトナムでの展開も検討している最中だ。
加賀電子のEMS事業の特長は、必ず顧客が進出する、もしくは既に進出している場所に工場を設け、生産を行うことである。他社との違いとして、特定の顧客1社に限定せず、分野の違うさまざまな顧客に対して少量多品種生産体制を構築している点もある。他社が行わないようなニッチな基板生産も行うことで、顧客から高い評価をいただいている。メキシコ法人では車載向けを柱に、5年後に売上高30億円を目指す。
EETJ 2019年3月期を最終年度とする4カ年の中期経営計画では、経常利益100億円の達成を目標として掲げています。具体的に、どの分野に注力していきますか?
門氏 車載、環境、通信、産業機器、アミューズメントといった重点市場の収益基盤を強化していく。新規事業としては、医療やヘルスケア、素材分野を狙う。
車載市場へは、LED関連や車載カメラ、液晶向けなどの引き合いが増えてきており、ベンダーとのパートナーシップを強化しながら拡販していく。通信ユニットや電池、車両軽量化に向けた素材なども新たに強化する。
また、通信ではIoTに代表されるように、あらゆる市場につながり多くのビジネスへ展開が期待できる。直近では、京セラコミュニケーションシステムが国内に展開することを発表したIoT向けネットワーク「SIGFOX」で、国内で敷設する通信網に対応するハードウェアの開発と、データの分析、活用ができるソリューションの提供を進めている。
ユビキタスとは、ECHONET Liteに対応したHEMS(Home Energy Management System)ゲートウェイを共同開発した。ユビキタスのクラウドプラットフォーム「dalchymia」を含めた、HEMSサービス事業者向けソリューションとして販売を開始している。スマートフォン上で各家電の電力が分かる高機能版の開発も進めており、新電力会社への受注などで、ソリューションとして3年後に売上高30億円を目指す。
EETJ IoTに向けた取り組みは、各社が注力してるように思います。加賀電子としては、どのように差別化を図っていくのでしょうか?
門氏 2017年度からは、従来の通信営業部から通信事業部へと体制を変更する。1つ格上げする形となり、人員も増やす予定だ。また、IoTに向けた取り組みは各部署でバラバラに取り組んでいたが、2016年7月に「IoT推進委員会」を発足した。各部署の取り組みの進捗報告や情報交換を行うことで、横展開を迅速に進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.