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Intel、アリゾナのFab 42に70億ドルを投資へEUVの導入も検討か(1/2 ページ)

Intelが、アリゾナ州に保有する製造工場「Fab 42」に70億米ドルを投資する予定であることを明らかにした。Intelは2014年1月に、Fab 42の稼働を延期することを発表したが、7nmプロセスの実現に向け、EUV(極端紫外線)露光装置の導入なども検討しつつ、同工場への投資を進めるとみられる。

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製造工場に70億米ドル

 IntelのCEO(最高経営責任者)であるBrian Krzanich氏は2017年2月8日、米国ワシントンのホワイトハウス大統領執務室においてトランプ大統領と会談し、同社が米国アリゾナ州チャンドラーに保有する半導体製造工場「Fab 42」に、70億米ドルを投資する予定であることを明らかにした。

 Fab 42は、建物自体は2013年末に完成していたが、設備が整わずに使われていない状態にあった。


アリゾナ州の「Fab 42」 出典:Intel

 Intelは発表資料の中で、「Fab 42は、3〜4年後をめどに完成する予定だ。プロセスエンジニアや設備技術者、設備サポートエンジニアや技術者などをはじめとする、高賃金の先端技術職の直接雇用を、約3000人分創出することになる」と述べている。Fab 42では、7nmプロセス技術を適用する予定だという。

生産能力拡大のためではない

 米国の市場調査会社であるInsight 64で主任アナリストを務めるNathan Brookwood氏は、EE Timesの取材に対し、「今回のIntelの発表を聞き、非常に驚いている。IntelがFab 42の整備を再開するのは、生産能力の拡大のためではなく、7nmプロセスの製造に不可欠なEUV(極端紫外線)装置を導入するためではないだろうか」と述べている。

 米国の市場調査会社であるIC Insightsでマーケットリサーチ担当シニアアナリストを務めるRob Lineback氏も、Brookwood氏の見解に同意する。Lineback氏は、「Fab 42には、EUVリソグラフィ装置が導入されるに違いない。EUVリソグラフィ装置およびプロセスは、7nmプロセスでの製造の実現を大いに後押しするだろう。ただし、EUVの導入は大きな変化をもたらすとみられる。Intelは、Fab 42の完成を3〜4年後としていることから、かなり慎重を期していることが分かる」と述べている。

 しかし、Intelの広報担当者は、EUV装置の導入について問われると、「現在まだ検討中だ。どの世代のプロセスでEUVに切り替えることになるかは未定である」と、明言を避けた。

 Lineback氏は、「今回、Intelが発表を行ったのは、同社が先端技術分野においてTSMCやSamsung Electronicsに後れを取っていないということを、業界全体に明示したかったからだ。Intelは今回の発表の中で、2020〜2021年をめどに完成させるとしているが、Intelの他の工場は、2020年よりも早く、7nmプロセスを適用したチップを製造する予定だ。Fab 42は、量産工場として稼働するのではないだろうか」と述べている。

 さらにLineback氏は、「IntelはAlteraを買収しているため、Fab 42でFPGAを製造するつもりなのだろう。IoT(モノのインターネット)向けチップ(組み込みプロセッサやマイコン)は最終的に、7nmプロセス技術に移行していくとみられるが、まだ数年先のことになる見込みだ」と述べている。

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