ロームが魅せる「良い音」、ハイレゾ対応SoC発表:独自の設計技術を用いた製品も(1/2 ページ)
ロームは2017年2月14日、ハイレゾリューション(ハイレゾ)音源に関するセミナーを開催し、同社が注力するハイレゾ対応製品や、独自の音質設計技術について説明を行った。
「音の作り込みに費やす時間の確保に貢献」
多くのオーディオデバイスを通じて、皆さまにもっと“良い音”を届けたい――。ロームは2017年2月14日、「ハイレゾリューション(ハイレゾ)音源と高音質オーディオを支える半導体技術」をテーマとしたセミナーを開催し、こう語った。
ハイレゾ音源とは、一般的な音楽用CDで再生される音楽はサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットなのに対して、サンプリング周波数96kHz、量子化ビット数24ビット以上のデータを指すことが一般的である。つまり、ハイレゾ音源は、音楽用CDよりも情報量が格段に多くなるため、高音質を実現可能だ。セミナーでは、ハイレゾ音源に対応したオーディオSoC「BM94803AEKU」を開発したことを発表した。
BM94803AEKUは、各種メディアデコーダーやマイコン、デジタルサウンドプロセッサ、16ビットSDRAMを1パッケージ化した製品である。SDRAMは、ローム子会社のラピスセミコンダクタ製を採用し、スタック構造でプロセッサチップに重ねて内蔵した。SDRAMやメディアデコーダーなどのデバイスは別々に実装する必要があったが、1パッケージ化により小型化に貢献する。ロームによると、実装面積を61%削減可能だ。SDRAMとプロセッサのチップ間ワイヤも短くなるため、輻射ノイズも小さくする。
ロームのオーディオSoC開発課で課長を務める岡本成弘氏は「BM94803AEKUの特長は、あらゆる音源を再生可能なことである」と強調する。CDやUSB、SDなどの従来メディアだけでなく、スマートフォン、Bluetoothメディア、PC(USB-DACによる接続)に対応した。FLACやDSDなどの幅広い音楽ファイル形式もサポートしているという。
「業界初」としているレファレンスデザインと専用ソフトウェアも提供する。レファレンスデザインは、BM94803AEKUに加えてアンプやCDドライバーなどのオーディオデバイスと周辺アプリケーションを実装した。岡本氏は「複雑化するオーディオ機器の開発工数を大きく削減し、音の作り込みに費やす時間の確保に貢献する」と語る。
BM94803AEKUは、2017年1月から月産3万個の体制で量産を開始しており、サンプル価格は1個当たり4000円(税別)。レファレンスデザインの参考価格は、1台当たり7万円(税別)である。現在は、サンプリング周波数96kHz、量子化ビット数24ビットのハイレゾ音源に対応しているが、今後は入手可能な最高品位のハイレゾ音源である同384kHz、同32ビットに対応する予定だ。CD音源やローレゾ音源などにおいても、ハイレゾ音質で再生することを可能にする「アップスケーリング機能」も開発中とした。
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