ロームが魅せる「良い音」、ハイレゾ対応SoC発表:独自の設計技術を用いた製品も(2/2 ページ)
ロームは2017年2月14日、ハイレゾリューション(ハイレゾ)音源に関するセミナーを開催し、同社が注力するハイレゾ対応製品や、独自の音質設計技術について説明を行った。
オーディオ分野の取り組み
オーディオ機器は、メディアデコーダーやサウンドプロセッサ、D-Aコンバーター、アンプ、マイコン、電源ICなどで構成されている(詳しい役割は、下記の図を参照)。ロームは1970年代にオーディオLSIに参入し、時代に応じた製品を展開してきた。
オーディオソリューションLSI商品開発部で統括部長を務める加藤武徳氏は「担当のエンジニアが、1つの製品を量産まで責任を持つ“一貫開発”を行うことが当社の強みである。開発者の顔が見えるものづくりを重視している」と語る。これまで、ホームオーディオや自動車向けオーディオなど幅広い機器に採用されてきたとする。加藤氏は、ヤマハのAVプリアンプ、アルパインのカーナビゲーションにサウンドプロセッサ、Technicsの高級オーディオ機器にはデジタルICが採用されたことを事例として挙げた。
加藤氏は「(ハイレゾオーディオが注目を集めるようになった)2010年以降、CDプレーヤーが発売された1983年に比べると半導体技術が進化し、音源はCDクオリティーに固執する必要がなくなった」と語る。1983年と2013年の各デバイスの性能を比較すると、DRAM容量は256kバイトから4Gバイト、HDD容量は10Mバイトから1Tバイト、CPU処理能力は3MIPSから15万MIPSへと進化した(代表値または概算)。つまり、高音質の要求に応えるハイレゾ音源が増加することが考えられるという。
独自の「音質設計技術」を採用
ハイレゾオーディオの時代において、ロームは「数値性能評価を超えた聴感評価が求められる」と指摘する。2016年10月に発表したハイレゾ対応のサウンドプロセッサ「BD34704KS2」「BD34705KS2」では、新たな“音質設計技術”を取り入れた。
この音質設計技術では、まず自社に設置した専用のリスニングルームで繰り返し試聴を行い、「透明感」「迫力」「ひずみ感」などを評価。これらの評価結果にひも付いた、ICの音質に影響する計28個のパラメーターを最適化することで、狙い通りの音質を持つ製品を開発できるようにしたとする。パラメータの代表例としては、ボリューム回路で発生する抵抗素子のノイズや、ボンディングワイヤの材質などを挙げた。
赤枠で囲んでいる部分がサウンドプロセッサになる。ひずみ率は0.0004%、S/N比(ノイズ性能)は−131dBと業界最高クラスの性能を実現したという。ロームは、2017年2月にも車載オーディオ機器向けサウンドプロセッサ「BD34602FS-M」を開発したことを発表している (クリックで拡大)
ロームでは、ハイレゾに対応したデバイスとして、これまでに紹介したオーディオSoC(BM94803AEKU)、サウンドプロセッサ(BD34704KS2/BD34705KS2)などを展開しているが、今後ラインアップを順次拡大していく予定だ。ハイレゾに最適な超低ノイズの電源ICや、ハイレゾ対応アンプ、D-Aコンバーターを開発予定とした。
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