EUVリソグラフィ開発、進展するも課題は山積み:長く曲がりくねった道のり(1/2 ページ)
米国で半導体リソグラフィ技術の国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」が開催中だ。IntelやSamsung Electronics、imecなどが発表した論文からは、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術が、大きく進展しつつも課題はまだ山積みであり、より一層開発を加速する必要のある部分もあることが明らかになっている。
目覚ましい進歩を遂げるEUVリソ
米国カリフォルニア州サンノゼで2017年2月26日〜3月2日に、半導体リソグラフィ技術に関する国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」が開催されている。この会場でIntelとSamsung Electronicsの専門家たちが語った内容から、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術が目覚ましい進歩を遂げていることが明らかになった。しかし両社とも、いまだ存在する数々の障害に行く手を阻まれ、EUVリソグラフィを使用した製造を開始可能な時期について、明示することができないようだ。
ベルギーの研究開発機関imecは、EUVを使用して、既存の液浸スキャナーをサポートすることが可能な、5nmプロセスを実現する技術を開発したと発表した。EUVは一般的に、2020年ごろをメドに導入されるとみられている。いくつかの重要なステップを踏まえることにより、既存の193nm液浸ステッパーで4回以上の露光を行わずに済むようになる見込みだ。
KLA-TencorのチーフテクノロジストであるBen Tsai氏は、SPIE Advanced Lithography 2017の基調講演のオープニングの中で、「今後は、液浸リソグラフィが主流派となり、EUVはレイヤーに対して選択的に採用されるようになると確信している」と述べている。
Samsungは2016年10月に、7nmプロセス技術でEUVを使用する予定だと発表しているが、今回、その計画を引き続き推進していく考えであることを明らかにした。ただし、その方法や時期などについては明言を避けている。またIntelは、「EUVは、7nmプロセスに最適な技術であるが、その準備が整わない限り使用することはできない」と、ここ数年間主張してきたことを繰り返した。
ペリクル、マスク検査ツールの開発を加速
現在、主要なEUVリソグラフィ開発プログラムは8つ存在するが、そのうちの6つが、ほぼ準備が整った状況にあるという。IntelのEUVプログラムの責任者であるBritt Turkot氏は、「ウエハーを覆うペリクルが開発中である他、マスクを検査するための新しいツールの開発もまだ進展していない」と述べている。
Samsungは、SPIE Advanced Lithography 2017において、同社が2012年以来開発に取り組んできた、7nmプロセス技術向けのEUVマスク用検査ツールについて説明した。Turkot氏は、「このようなツールがサードパーティーから供給されないことが、EUV導入の妨げになるわけではないが、歩留まりの低下やコスト増大の要因にはなると考えられる」と指摘する。
SamsungのEUVプログラムを担当するSeong-Sue Kim氏は、「2016年末に、当社にとって初となるEUVマスクの製造を実現した。欠陥が5つ未満のため、修正可能なレベルにあるといえる。私がこのプログラムに着手した当時、このようなEUVの実現はほとんど不可能だと思われたが、今回非常に素晴らしい成果を上げることができた」と述べている。
Intelでマスク関連の開発を率いるFrank Abboud氏は、「Intelは1992年以来、EUVマスクの開発に取り組んできた。しかしマスク開発は、EUV実現への扉を開くためのアイテムにはならないだろう」と述べ、同社が2014年に開発した、マスク製造用の新しいマルチビームツールを披露した。
Turkot氏は、「Intelは2016年、自社の工場向けに、製品レベルのEUVマスクの出荷を開始した。EUVマスクのパイロット製造ラインでは、14/10/7nmプロセスを適用して、無欠陥のEUVレチクルを数種類、製造している」と述べる。
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