EUVリソグラフィ開発、進展するも課題は山積み:長く曲がりくねった道のり(2/2 ページ)
米国で半導体リソグラフィ技術の国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」が開催中だ。IntelやSamsung Electronics、imecなどが発表した論文からは、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術が、大きく進展しつつも課題はまだ山積みであり、より一層開発を加速する必要のある部分もあることが明らかになっている。
光源でも大きな成果が
IntelとSamsungの専門家たちはいずれも、EUVの光源について、目標である250Wに向けて大きく前進したとの見方で一致している。だが、半導体装置メーカーのASMLが2016年末に発表した、研究所で行ったデモ実演の210Wと、現在稼働している装置の中では最高性能とされる130Wとの間には、いまだに大きなギャップが存在する。
とはいえ、光源のドロップレットジェネレータとコレクタの寿命が延びていることで、実現の時期を予測しやすくなっているようだ。Turkot氏は、SPIE Advanced Lithography 2017で発表した論文の中で、EUV光源のサプライヤーであるギガフォトンが開発したプロトタイプについて、「大きな励みとなる成果だ」と指摘している。ギガフォトンは2016年7月、EUVスキャナー用光源のプロトタイプ機で発光効率4.0%、発光出力250Wを達成したと発表した(関連記事:EUV光源、発光効率4.0%で出力250Wを達成)
同氏は、「EUVの稼働時間(アップタイム)は全体的に向上しているが、それでもまだ不十分だ」と述べる。最新システム「3350B」は2016年末に、75%を超える稼働時間を達成した。2015年に比べて約5%向上している。
Turkot氏は、「新しい薄膜の開発や製造が進んでいることを受け、EUVウエハーの欠陥を防止することができるペリクルが進化を遂げている」と楽観視しているようだ。SamsungのKim氏は、「新しいペリクル材料は、250Wの光源に耐え得るものでなければならない」と述べた。
Kim氏は、「フォトレジスト材料は、7nmプロセス向けとしての性能目標を達成しつつあるが、製造で使用するには、さらなる感度の向上が必要だ」と指摘する。Turkot氏は、「化学物質が、EUVの使用を制限する存在になるとは考えられないが、将来的に、ラインエッジの粗さやエッジの配置に対応できるような技術が実現しない場合は、その可能性もある」と述べる。
Turkot氏は、「この他にも、心配の種としては、ツールが完成して稼働し始めると、レチクルの欠陥が増大するという点が挙げられる。原因については不明だが、最新の3350Bをはじめ、複数のツールでこのような状況が確認されている」と述べている。同氏は、「幸いなことに、現在稼働している14台のEUV装置のうち、6台が3350Bだ。これらが生成している膨大なデータセットから、パターンを迅速に識別することにより、さらなる技術進展が見込まれる」と続けた。
「開発プログラムは曲がり角に差し掛かった」
Turkot氏は、「EUV開発プログラムは、これまで20数年間にわたり、長く曲がりくねった道のりを歩んできた。現在、目標を達成していく上で、ちょうど曲がり角に差し掛かったところだ。現時点でどのような位置付けにあり、この先何が待ち構えているのかについて、注意を払う必要がある」と指摘する。
imecは、EUVを使用し、42nmの第1層金属配線のピッチ(M1ピッチ)と32nmの第2層金属配線のピッチ(M2ピッチ)を用いて、5nmの論理ノードを実現する手法について説明を行った。imecにとっては、EUVを使って、新技術の開拓をサポートすることが可能なプロセス技術を、初めて実現したことになる。
imecは、「EUVのブロッキングステップを1つ追加することにより、SAQP(自己整合型クアッドパターニング)技術を完成させることができる。液浸ステッパーだけを使用する場合と比べて、コストを20%削減することが可能だ」と述べる。
またimecは、「EUVでシングルパターニングを使用することにより、SAQPとトリプルブロッキングの両方を省くことができる。しかし、このような代替手法を採用することで、コストと複雑性が増大する可能性がある」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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