ASML、EUVリソグラフィ開発を加速:SPIE Advanced Lithography 2017(1/2 ページ)
半導体リソグラフィ技術に関する国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」において、ASMLがEUV(極端紫外線)スキャナーを発表した。
懐疑的な見方も強い
ASMLは、米国カリフォルニア州サンノゼで2017年2月26日〜3月2日に開催された、半導体リソグラフィ技術に関する国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」において、EUV(極端紫外線)スキャナー「NXE:3400B(以下、3400B)」を発表した。量産工場への導入を目指すという。3400Bの後継機種に関する詳細についても、初めて明らかにした。Carl ZeissとSamsung Electronicsも今回、EUV光と同じ波長でマスクを検査することが可能な高解像度装置を発表している。
SPIE Advanced Lithography 2017においてさまざまな装置が発表される中、GLOBALFOUNDRIESとベルギーの研究開発機関imecも、EUVと既存の193nm液浸スキャナーとを組み合わせて使用する7nm/5nmプロセス技術について、詳細を明らかにした。
今回発表された内容から、EUVの開発が進んでいることはよく分かる。しかし現実には、この先にもさまざまな障壁が存在している上に、大きな受注を獲得したとする発表もされていないことから、まだ懐疑的な見方が強い傾向にある。
FractiliaでCTO(最高技術責任者)を務めるChris Mack氏は、「ASMLの新型装置の実用化は、20mJ/cm2の露光量でパターン形成が可能なレジスト材料を使うなど、数々の“前提条件”に基づいている。だが、既存のレジストは少なくとも30mJ/cm2の露光量が必要だというのが実際のところだ」と指摘する。
さらに、EUVリソグラフィのロードマップは、ASMLやサードパーティー企業が投入する予定の各種ツールに依存している。こうしたツールには、EUVウエハーを汚染物質から保護するペリクルなどが含まれている。
一方、新たな課題も出現している。例えば、形状の小型化は進んでも、エッジの粗さは低減できていない。業界では現在、さまざまな企業が、エッジの粗さを完全には、なくせなくても、予測だけでもできるよう、統計を利用する方法を探し求めている。Mack氏も、この中の1人である。
ASMLは今週(2017年2月27日の週)、3400Bの出荷を開始する予定だ。3400Bは、1時間当たり125枚のウエハーを処理可能なスループットを達成し、量産工場に導入できるだけのレベルを実現できるという。
ASMLが今回、目標を達成できたのは、光源を目標レベルの250Wに押し上げたからではなく、装置内部のウエハー処理速度を向上したためだ。3400Bはもともと、148Wの光源で1時間当たり104枚のウエハーを処理する予定だったという。
現在稼働中の14台のEUVスキャナーのうち、大半がアップグレードを予定している。全てのプロセスが完了するまでに、約2年を要する見込みだ。光源やさまざまな主要部品を組み込んでいる部分を真空破壊する作業も含まれるため、アップグレードには約3カ月かかるという。かなり複雑なプロセスになるのだろう。
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