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人身事故を「大いなるタブー」にしてはならない世界を「数字」で回してみよう(40) 人身事故(最終回)(8/9 ページ)

「人身事故」という、公で真正面から議論するには“タブー”にも見えるテーマを取り上げた本シリーズも、いよいよ最終回となります。今回は、「飛び込み」を減らすにはどうすればいいのか、という視点を変え、「飛び込み」さえも構成要素として取り込む鉄道インフラシステムについて考えてみたいと思います。

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あなたは、訳の分からないものに「殺される」べきではありません

 それでは、シリーズ「人身事故」の最終回の内容をまとめます。

【1】今回の前半は、今回のシリーズの当初の目標とその達成状況についてのレビューを行いました。その結果、連載第1回で掲げた3つの課題は達成できたと総括しました。

 また、ホームドアについてのコスト検討を、江端の通勤費に勘案して検討してみました。

【2】「飛び込み自殺」を巡る関係者(自殺者、鉄道会社、乗客)の相関関係を図面に表して、「飛び込み自殺」という事象を、少なくとも当面の間は根絶する手段はなく、私たちは『不幸の相関』を止めることができない」ということを明らかにしました。

【3】社会インフラシステムの中でも、特に鉄道システムの特異性(ユーザーが直接システムに干渉できる)ことを確認した上で、特に、そのような干渉に対して、著しく惰弱であるということを明らかにしました。

【4】これからのわが国は、「自殺を前提とする社会インフラシステム」に基づく「自殺を前提とする社会」の構築が必要になるという、江端持論を展開しました。

【5】上記の持論に基づき、鉄道会社、私たち、政府、教育、そして自殺志望者に対する、その社会実現への具体的な手段を提言し、さらに、「自殺を前提とするビジネスチャンス」にまで言及致しました。


以上です。


 では、「人身事故」シリーズの最終回に際して、最後に謝辞を申し上げます。

 江端からの膨大なページの原稿の修正、校正に加え、数々の爆弾ワード(「血飛沫」「飛散」「破裂」「鮮血」「出血多量」「血みどろ」「真っ赤」「肉塊」「肉片」「散らばった」等)を、片っ端から、通常用語に変換するという(心労の重なる)作業を続けていただき、倫理規制ギリギリのところまで表現を変更し続けて頂いた、編集担当の村尾麻悠子さまに感謝申し上げます。

 私の情報開示請求に対して、システムに不慣れな私のために、『CD-ROMでデータを送付しましょうか?』と、わざわざ電話でご連絡を頂いた、国土交通省の広報課の皆さまに感謝申し上げます*)なお、読者の皆さんが、情報開示請求されるときは、私のように、広報課の方に迷惑を掛けないようにしてください。

 アンケートに応じてくださった、合計150人(2017年3月現在)の読者の皆さまに感謝申し上げます。皆さんからのご意見が、私の執筆方針に大きな影響を与えたことは、申し上げるまでもありません。特に、医学的検知から、私のコラムの内容を監査し、人身事故のリアルに迫るための多大な情報と考察および数多くのアドバイスを頂いた、シバタさまに感謝致します。

 読者視点から、身も蓋もないほど、私の著作をボロボロに批判、批評 ―― というか、「非難」 ―― を続けてくれた「無礼な後輩」殿に感謝致します。私の分析や計算や主張が、「真」でないことを、これ以上もなく分かりやすくロジカルに説明した力量だけには、常に感謝しています。これからもよろしくお願い致します。

 最後に、週末の執筆中に私が出す邪悪なオーラにおびえながらも、私の書斎に、大福もちやフルーツ、自作スイーツをせっせと運んでくれた、私の家族(嫁さん、長女、次女)に感謝します。


 私は、私のように「心に寄り添うことができない人間」であっても、やれることはあるはずだ、と信じてこの連載を続けてきました。私たちは、どのようなアプローチであれ、人身事故を「大いなるタブー」にしてはならないのです。

 では、最後に、この国にいるたくさんの「死にたい人」に申し上げます。

 私がどれだけ理を尽くし、大きな声で叫んでも、多分、私の声はあなたには届かない ―― 私は、それを知っています。

 だから、この一つだけで良いので、覚えておいて欲しいのです。

 この連載で明らかにしてきたように、あなたに「死にたい」と思わせているモノの多くは、「あなた自身」ではありません。

 もし、あなたが「死にたい」のであれば、「あなた」を殺すものは、あくまで「あなた自身」でなければなりません。

 少なくとも――、

 あなたは、訳の分からないものに「殺される」べきではありません。


(アンケートに応じてくださった読者の皆さんに、「自殺を前提とする社会」に関するアンケートをお願いしました。「Q0」「Q1」「Q2」「Q3」にて、開示しております。

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