メモリ、海外原子力抜きの東芝として成長戦略発表:社会インフラ中心の会社へ(1/3 ページ)
東芝は2017年3月14日、メモリ事業の売却、海外原子力事業からの撤退方針を示した上で、2017年度以降の経営戦略を公表した。社会インフラ事業を中心に、エネルギー事業、メモリを除く半導体、HDD事業、ICT事業に注力する。
2020年3月期目標売上高4兆2000億円、営業利益2100億円
東芝は2017年3月14日、米国子会社ウェスチングハウス(以下、WH)の非連結化などを盛り込んだ経営再建策を公表した。2019年度(2020年3月期)にWHや既に外部資本導入を決めているメモリ事業を除いた“新生東芝”として売上高4兆2000億円、売上高経常利益率5%を目指す。
東芝は2017年3月14日に、2016年度第3四半期決算を開示する予定だったが、監査が完了せず、2017年4月11日まで開示時期を延期した。2016年度第3四半期決算の開示延期は2017年2月14日に続き、2度目となった。
なお、2016年度第3四半期決算、2016年度通期決算見通しについては、2月14日時点に公表した値から変更はなく、資本対策を行わなかった場合、2016年度末時点で1500億円の債務超過となる見通しも変わっていない。
「政治的に問題のある国は避ける」
債務超過の解消策としては、2017年4月1日にメモリ事業を分社し、メモリ事業子会社となる「東芝メモリ」の過半株式を売却し、東芝グループとしての債務超過を解消する。東芝メモリへの外部資本導入割合については「マジョリティ譲渡を含む」(同社)と2月14日時点の姿勢から変えていない。メモリ事業売却を巡る入札の状況について東芝社長の綱川智氏は「3月末までに入札条件がそろう。半導体は、国の安全に関係する技術であり、それも考慮して(売却を)進めたい」としつつも、国外への技術流出を懸念する声に対し「今時点でも(米国に本社を置く)ウェスタンデジタルと協業を進めている。政治的に問題のある国は避けて善処していく」と応じた。
メモリ事業売却以外の債務超過、財務体質強化策としては2016年度に約1600億円分の保有資産を売却し、「2017年度も継続して保有資産の売却を行う」(綱川氏)
業績悪化の主因となっている海外の原子力事業について綱川氏は「海外原子力事業のリスクを遮断する。WHの非連結化などを含めて位置付けを根本的に見直す」と明言した。
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