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マイクロソフトがARMサーバの検証へWindows ServerをARMチップに移植(1/2 ページ)

米国で開催された「OCP Summit 2017」でMicrosoft(マイクロソフト)がARMサーバを採用し、その検証を開始したことが分かった。CaviumやQualcommのサーバ向けARMチップを使っている。

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x86サーバが優位を誇る市場だが

 Microsoftが、CaviumとQualcommの他、少なくとももう1社のARMベースのサーバ向けSoC(System on Chip)の試験を実施しているという。Intelのx86が圧倒的な優位性を維持しているサーバ市場への進出を加速させたい考えだ。

 Microsoftは、米国カリフォルニア州サンタクララで2017年3月8〜9日に開催された年次イベント「OCP(Open Compute Project) U.S. Summit 2017(以下、OCP Summit)」において、今回の発表を行った。同イベントでは、Facebookも新しいサーバシリーズを発表している。FacebookとMicrosoftはいずれも、NVIDIAの高速インターコネクト技術「NVLink」を使用して、NVIDIAのGPU「Pascal」を8個接続した、アクセラレータシステムを発表した。


「OCP Summit 2017」で、Qualcommのサーバ向けARMチップを搭載したボードを掲げるMicrosoftのLeendort Van Doorn氏(右)とKushagra Vaid氏

 またIBMは、同社にとって初となる、最新プロセッサ「POWER9」を搭載したボードを発表している。Xilinxの新型FPGAと、Mellanox Technologiesの100Gビット/秒イーサネットスイッチを備え、全て最新のPCI Express Gen4に対応するという。PCI Express Gen 4をサポートするCPUは、POWER9が初となる。

 OCP Summitでは、データセンター向けハードウェアの分野が全体的に一段と活性化する一方で、断片化も進んでいることが明らかになった。OCPは現在、195社の参画メンバーと、70製品のオンラインストアを抱えているが、これらの製品の一部は、まだオープンハードウェア設計ファイルを提供していないという。FacebookやMicrosoftなどの最新型マザーボードでさえも、全く異なる設計が採用されている。

 MicrosoftがARMサーバを検証するという発表は、今回のイベントの中で最も驚くべきニュースとなった。

Windows ServerをARMチップに移植

 Microsoftは評価試験の一環として、社内のみで使用するために、自社のクラウドサービス「Azure」や、アプリケーションフレームワーク「Microsoft.NET Framework」、各種Windows Serverの一連の生産アプリケーションを、ARMチップに移植したという。また同社は、QualcommとCaviumに対して、オープンソースハードウェア開発モデル「Project Olympus」に準拠するマザーボードの開発サポートを提供したとする。

 Microsoftは、米国ワシントン州レドモンドの研究所で最初の検証を行った後、アジアの研究開発施設において、小規模クラスタの一部として200種類以上の新型マザーボードの試験を行う予定だ。同社は、初期段階の試験結果や試験期間などの詳細については、一切明らかにしていない。


Microsoftの検証用のサーバボードにはCaviumの「ThunderX2」が搭載されている(クリックで拡大)

 Microsoftの経営幹部は、ARMベースのチップを自社のデータセンターで幅広く使用する可能性について、前向きに取り組んでいるという。

 MicrosoftのデータセンターグループのLeendert Van Doorn氏は、「生産システムの開発と並行してクラウドサービスの評価を行ってきた結果、非常に説得力のある成果を得ることができた」と述べる。同氏は、2015年にMicrosoftに入社する以前は、AMDでARMベースのSoCの開発に携わっていたという。

 同氏は、「まずは、検索エンジン『Bing』や、Microsoftのビッグデータ解析サービス『Cosmos』、ストレージ、機械学習(マシンラーニング)などの評価を行う予定だ」と続けた。

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