高品質の映像体験を公衆IP網で届ける、カナダ発企業:放送局や病院、教会でも採用(1/2 ページ)
高解像度の映像を低遅延で配信するニーズは増えている。ただ、サテライトなどプライベートネットワークを使うとなると、映像は高品質でもコストが高くつく。カナダのHaivision(ハイビジョン)は、公衆IP網、つまりパブリックネットワークを使うことで、高解像度の映像配信システムを安価に提供している。
エンド・ツー・エンドで映像配信システムを提供
フルHD、4K、そして8Kと、動画の解像度は増加の一途をたどっている。スマートフォンやディスプレイ、TVなども4K対応(ディスプレイは8K対応も)の機種が登場し、ユーザーは、より高品質な映像体験を求めるようになっている。例えば、競技やイベントの生中継などにおいて、一瞬たりとも途切れないことや遅延がないことなどが求められている。
こうしたニーズに応えるべく、映像配信システムを提供しているのがカナダのHaivision(ハイビジョン)だ。2004年に設立されたプライベートカンパニーで、カナダ・モントリオールに本社を構え、米国のシカゴやポートランド、ドイツのハンブルグに研究開発拠点を置く。従業員は設立当初の8人から、現在は200人にまで増えた。顧客数は1万社に上り、過去11年間の年間平均成長率は30%を超える。
Haivisionは、エンコーダーをはじめ、ゲートウェイ、配信サーバ、デコーダーを1つのプラットフォームとして提供する。ハードウェアとソフトウェアは、全て自社で開発した製品だ。HaivisionのCEO(最高経営責任者)兼プレジデントのMirko Wicha氏は、「映像配信に必要なシステムをエンド・ツー・エンドで提供できることがわれわれの最大の強みだ」と説明する。
Wicha氏は「Appleがスマートフォン市場においてあれだけの強みを持つ理由は、端末やOSを全て自社で開発し、(アプリなどのソフトウェアを)自社でコントロールしているからだ。Appleはスマートフォンに必要なシステムを全て自分たちで所有している。われわれもそれと同じだ。映像配信に必要なハードウェアとソフトウェアを他社から寄せ集めてプラットフォームとして提供しているわけではなく、全て自分たちで手掛けている」と強調する。全て自社で開発することで、品質のコントロールが容易になり、高い品質を維持できるとWicha氏は述べる。
Haivisionのフラグシップ製品が、エンコーダー/デコーダーの「Makito(マキト) X」だ。Haivisionのエグゼグティブバイスプレジデント兼CMO(Chief Marketing Officer)であるPeter Maag氏は、「Makito Xには代々、その時の最新の圧縮テクノロジーを搭載してきた。初代MakitoのMPEG-2に始まり、H.264、そして2017年初頭に発表した最新モデルのMakito XではHEVC(High Efficiency Video Coding)を採用している。これによって、超低遅延を実現している」と説明する。ここでいう超低遅延とは、エンド・ツー・エンドで70ミリ〜150ミリ秒くらいだ。
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