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厚み加工精度2nmで1008サイズ水晶振動子を製品化プラズマCVMで(1/2 ページ)

京セラクリスタルデバイスは2017年3月、1008(1.0×0.8mm)サイズの水晶振動子を製品化すると発表した。水晶素子の加工精度を大幅に高めた独自製造方法により「世界最小の水晶振動子を実現した」(同社)

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80nm精度を2nm精度に

 京セラクリスタルデバイスは2017年3月23日、水晶振動子として「世界最小」(同社)という1008(1.0×0.8mm)サイズの超小型の水晶振動子「CX1008」を製品化し、2017年5月からサンプル出荷を開始すると発表した。半導体製造プロセスを応用した独自の製造プロセスにより水晶ウエハーの厚み加工精度を2nmに高めることで、水晶素子の小型化を実現した。


「世界最小」をうたう京セラクリスタルデバイスの水晶振動子「CX1008」

 水晶素子を小型化すると、クリスタルインピーダンス(CI/等価直列抵抗)値が大きくなるなどし、所望の単一共振を得られる水晶素子寸法の範囲が限られる。そのため、高精度に水晶素子寸法を加工しなければならなくなる。

 一般に水晶素子の元になる水晶ウエハーの加工は機械加工法が用いられる。水晶ウエハーよりも硬い素材の工具を用い水晶ウエハーを研磨し、水晶ウエハーの厚みを整える。ただ、水晶よりも硬い工具で加工した場合、水晶表面にダメージが加わり特性の悪化要因となる上、加工精度も厚み方向で80nm(±1650ppm)程度が限界だった。そのため、水晶素子として加工しても、素子ごとに発振周波数にばらつきが生じ、選別、エッチングなどの加工方法による素子の形状、寸法調整、電極回路による周波数調整といった校正作業が必要になり、生産性が悪くなるため、結果として小型水晶振動子の製品化が難しくなった。


従来の機械加工での問題点 (クリックで拡大) 出典:大阪大学

大阪大学山村准教授と共同で開発

 こうした状況で、京セラクリスタルデバイスは、水晶ウエハー厚みのばらつきを抑えて加工できる従来の機械加工に代わる加工方法として、大阪大学大学院工学研究科附属超精密科学研究センター准教授の山村和也氏らが開発するプラズマ化学的気化加工法(Chemical Vaporization Maching/以下、CVM)を導入した。


プラズマCVMの概要 (クリックで拡大) 出典:大阪大学

 プラズマCVMは、水晶ウエハー表面にプラズマ中の中性ラジカルを充て、水晶と化学反応を起こしガスとして水晶を気化させ、表面を整えるもの。山村氏らが開発するプラズマCVMは、真空中で行わず、大気中で加工する特長があり、簡便な装置で実施できる。また大気中で行うため「プラズマが水晶表面に到達するまでに、大気中の分子に邪魔されることで、プラズマの速度が落ち水晶表面にダメージを与えない点も特長」(山村氏)という。

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