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Samsung、10nmプロセス技術開発でTSMCをリードIntelも加えた三つどもえ戦で

半導体分野のアナリストによると、10nmプロセスの開発では、Intel、Samsung Electronics、TSMCが三つどもえ戦を繰り広げているが、現在はSamsungが一歩先を行っているようだ。

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SamsungがTSMCに先行

 半導体分野のベテランアナリストであるAndrew Lu氏によると、Samsung Electronicsは10nmプロセス技術開発において、TSMCに1四半期ほどの差をつけてリードしているという。

 SamsungとTSMCは2017年初めに、「2017年第2四半期中には、QualcommやMediaTek、Huaweiの半導体子会社であるHiSiliconなどの顧客向けに、10nmプロセスのファウンドリーサービスを開始する予定だ」と発表している。

 Lu氏は、市場調査会社であるSmartkarmaに向けたレポートの中で、「Samsungは2017年3月15日、以前に発表していた予定よりも早く、10nm Low Power Early(LPE)プロセスを適用したウエハーを7万枚出荷したと発表した」と述べる。

 さらに、同レポートの中で、「TSMCは、MediaTekやHuaweiおよびHiSilicon向けに10nmプロセス開発を加速させてきたが、Samsungの10nmプロセス開発スケジュールに先を越されることになったようだ。この背景には、MediaTekの10nmチップのデザインウィンが、幾度もキャンセルされたことにあるとみられている。かつては両社の競争において、TSMCの方がリードしているとの見方が大半だった」と述べている。

 また同氏によると、Intelは近々、以前に買収したAlteraの他、NetronomeやLG Electronicsなどに向けて、10nmプロセスファウンドリー事業を始動させる予定だが、今やSamsungとTSMCの方が、Intelを数四半期ほどリードしているようだ。SamsungとTSMC、Intelは、最先端の技術開発による利益確保を目指し、三つどもえ戦を繰り広げている。

 Lu氏によれば、Samsungは、10nmプロセス技術を適用して、自社のSoC(System on Chip)「Exynos 9 Series 8895」や、Qualcommの最新SoC「Snapdragon 835」を製造しているという。「Exynos 8895とSnapdragon 835が、ダイサイズ約150mm2で、70%の歩留まり率を達成していると仮定した場合、Samsungはこれまでに、10nmプロセスSoCを1920万個出荷したことになる。2017年5月末までには、同社の次世代スマートフォン『Galaxy S8』の販売を開始するのではないだろうか」(Lu氏)

 Samsungは2016年に、「Galaxy S7」のバッテリー発火事故により、壊滅的なリコール問題が発生して苦境に陥った。Galaxy S8は、この事故後に発表する最初のフラグシップ製品となる。メディアの報道によれば、Galaxy S8は、早ければ2017年3月29日に発表される見込みだ。

8nm/6nmプロセスを追加

 Samsungは、既存のプロセスロードマップである10nmおよび7nmプロセスに、8nmと6nmプロセスを追加したことを明らかにした。

 Lu氏は、「Samsungは、8nm/6nmプロセスを開発することにより、TSMCがこれまでに、中間的なプロセス技術の開発において維持してきたリードを、阻止することになる」と述べる。

 TSMCはこれまで、10nmと16nmの中間にあたる12nmプロセスや、20nmと28nmの中間である22nmプロセスなどを開発することで、性能やコスト面での競争力を確保してきた。その点で、他のファウンドリーとは一線を画している。

 Lu氏は、「Samsungが中間世代のプロセス技術を開発することを明らかにしたので、TSMCには、競争力を確保する余地がほとんど残されていないと考えられる」と指摘している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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