TDKがICsenseを買収、センサーに不可欠なASICが狙い:買収額は非公開
TDKは、同社の子会社であるTDK-Micronasを通じて、自動車や産業などの分野向けにASICを開発するベルギーICsenseを買収すると発表した。
センサーに欠かせないASICを獲得
TDKは2017年3月28日、TDKの完全子会社であるドイツTDK-Micronasが、ベルギーICsenseを買収すると発表した。ICsenseはTDK-Micronasの完全子会社となり、TDKのグループ企業となる。ICsenseの経営体制は、今後も継続する予定だ。なお、TDK広報によると、買収金額は非公開だという。
2004年に設立されたICsenseは、ASICの開発やカスタムICの設計サービスを中核事業とする。売上高は非公開。アナログ、デジタル、ミックスドシグナルおよび高電圧IC設計で実績があり、自動車や医療、産業機器、消費者市場向けに顧客ごとにカスタマイズしたASIC製品を開発、提供している。同社のコア技術はセンサーとMEMSのインタフェース、高電圧IC設計、電源およびバッテリーマネジメントだ。
センサーとアクチュエーター事業の拡大に注力するTDKにとって、センサーの値を読み取って信号処理をするASICは欠かせない製品である。こうした理由からTDKはICsenseの買収を決めた。
TDKは、ICsense以外にも、積極的な買収活動によりセンサー事業を強化してきた。2016年8月にはフランスのセンサーメーカーTronics Microsystemsを55億円で、同年12月には米国のセンサーメーカーInvenSenseを1500億円で買収すると発表した。TDKはInvenSenseの買収を発表した際、2020年度(2021年3月期)までにセンサー事業の売上高を現在の4倍となる2000億円に引き上げる計画だと述べていた。
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