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自動運転向けセンサーフュージョンはローデータを使うメンターのプラットフォーム(1/2 ページ)

現在、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転向けのセンサーフュージョンは、センサーから収集したデータをある程度エンドデバイスで処理している。Mentor Graphics(メンター・グラフィックス)は、より高度な自動運転向けのセンサーフュージョンには、エンドデバイスで処理していない“ロー(Raw)データ”を使うべきだとし、それを実現するためのプラットフォーム「DRS360」を発表した。

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ローデータのセンサーフュージョンは難しい

 現在では、ますます多くの自動車メーカーが、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転車にさまざまな種類のセンサーを搭載するようになり、高性能自動運転車の安全性を確保する上で、センサーフュージョンを搭載することの重要性が高まっている。

 しかし、自動車メーカーの大半が、使用しているロー(Raw)データや処理データに関する詳細の他、さまざまな種類のセンサーデータを扱う際に直面している課題については、明らかにしていない。米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsでグローバルオートモーティブプラクティス担当ディレクターを務めるIan Riches氏は、「通常は、個々のセンサーが、独自のローカル処理を実行している」と述べている。

 Mentor Graphics(メンター・グラフィックス)は、米国ミシガン州デトロイトにおいて2017年4月4〜6日(現地時間)の日程で開催されている「SAE 2017 World Congress」に参加し、レーダーやライダー、ビジョン、超音波などのさまざまな手法を使い、ローデータのフュージョン(統合処理、以下ローデータフュージョン)をリアルタイムで実行するデモを披露している。

 Mentor Graphicsが発表する自動運転プラットフォーム「DRS360」は、あらゆるシステムセンサーから収集した、フィルタリングされていない情報をCPUに直接伝送できるという。

 同社でバイスプレジデント兼組み込みシステム部門担当ゼネラルマネジャーを務めるGlenn Perry氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「センサーフュージョンとローデータフュージョンを比較してみると、小さいながらも重大な相違点がいくつかある」と述べている。

 通常、自動車メーカーが使用するセンサーはモジュール型で、収集したデータはある程度前処理しておく。「カメラからフュージョンシステムに伝送されるデータは、実際の画像データそのものというよりは、例えば『ここに白線があって、自動車があって、道路標識がある』というように、その画像の中で関心が高いと思われる部分を描写したデータだといえる」と説明する。


現在のセンサーフュージョンの概要(クリックで拡大) 出典:Mentor Graphics

 Mentor Graphicsは、「各エンドノードで使われているセンサーモジュールから前処理用マイコンを取り除き、(処理されたものではなく)ローデータをフュージョンする。これにより、ADASや自動運転車の開発メーカーは、リアルタイム性能の大幅な向上と、システムコストや複雑性を低減できるはずだ」と主張している。

 Mentor Graphicsが開発したDRS360プラットフォームは、ISO 26262で最も高いレベルの安全性を要求するASIL Dに対応したシステムの導入に不可欠な、安全性やコスト、電力、温度、排出量などの要件を満たしている。

 Perry氏によると、DRS360プラットフォームは、ローデータフュージョン向けとしてXilinxのプログラマブルSoC「Zynq」を搭載する他、ADAS向けのSoC(ARMあるいはx86ベース)、自動運転機能、MCU(Infineon Technologiesの安全対応マイコンなど)を備えているという。

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