FPGAを使い切る高性能コンピューティングを提案:GPUより性能10〜100倍!?(2/3 ページ)
PALTEKとベクトロジーは2017年4月から、ビデオ処理や機械学習、ビッグデータ分析などハイパフォーマンスコンピューティングをFPGAで実現するためのボードベースプラットフォーム「DATA BRICK」の販売を開始する。GPUなどでは実現が困難な高速処理性能をFPGAボードと、FPGA設計ノウハウで実現する。
演算能力は、GPUの10倍から100倍
DATA BRICKと、ベクトロジーのFPGAを使い切る設計の組み合わせにより実現される“FPGAコンピューティング”は「GPUをはるかに上回る処理性能を実現する」と篠田氏は言い切る。「CPU+GPUのシステムでは、CPUとGPUが頻繁に通信を行う必要があり、その通信がボトルネックとなり、処理時間を高速化できない。一方で、FPGAはCPUから自立して多様な計算を並列して実行でき、CPUとの通信は必要最小限で済むメリットがある。FPGAコンピューティングの演算能力は、GPUの10倍から100倍になるだろう」と語る。
FPGAコンピューティングの処理能力を示す例として、コンピュータのベンチマークとして使用されるジュリア集合の専用演算器をXilinxのFPGA「Virtex6 LX760」で構築した使用例を挙げる。作成した専用演算器は、1秒当たり60フレーム(60fps)のジュリア集合演算を遅延なく達成できたという。篠田氏は「60fpsでのジュリア集合処理は、GPUでは不可能な処理であり、FPGAコンピューティングの性能の高さを理解してもらえるだろう」と胸を張る。
その上で篠田氏は「基本、GPUは互いに通信できず、CPUを介する必要があるが、FPGAは、CPUを介さず自立通信が行える。従って、1つのCPUで多くのFPGAを動作させることができ、GPUのシステムよりも拡張性が優れるという点でもFPGAコンピューティングの利点」と付け加える。
最大448Gビット/秒でFPGA間を接続可能
DATA BRICKは、FPGAコンピューティングの利点である拡張性を生かすべく、多くの高速インタフェースを備える。各FPGA(=各DATA BRICK)間を接続するためのインタフェースとして、28Gビット/秒対応インタフェースを16レーン(=最大448Gビット/秒)を備え、複数のDATA BRICKを連結、動作できる。ホストCPUとの接続用として、PCI Express Gen3を16レーン、さらにFMC(HPC)コネクター(2個)、SAMTEC FireFLYコネクター(4個)のI/Oも備え、既存資産を有効活用できるような仕様となっている。
なお、サイズは257×120mm。価格は300万円(参考価格、受託開発費除く)となっている。「DATA BRICKが搭載するXCVU3P-2FFVC1517Iは、Amazonなどが採用し生産数量が増える見込みであり、価格も安くなる見込み。FPGA価格が下がれば、DATA BRICKの価格にも反映させる」(PALTEK デザインサービスディビジョン 柳瀬拓氏)との方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.