ルネサス、DevCon 2017基調講演ダイジェスト:自動運転と組み込みAIを強調(2/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2017年4月11日、プライベートイベント「Renesas DevCon Japan 2017」を開催した。基調講演では同社首脳が、「e-AI(embedded-AI)」や「Renesas autonomy」について、応用事例を交えてその狙いや効果を紹介した。
「e-AI」の意義
ルネサス エレクトロニクスの執行役員常務で第二ソリューション事業本部長を務める横田善和氏は、e-AIソリューションの概要や応用事例について述べた。SOCIETY5.0の実現に向け、同社がフォーカスする事業領域として、「スマートホーム」「スマートファクトリー」「スマートインフラ」の3分野を挙げる。この領域にe-AIを適用することで、「現場での認識・判断」「熟練者の知恵を再現」といった効果が得られるという。
ディープラーニングの結果を組み込み機器に実装するためのソリューションも新たに発表した。Eclipseベースの統合開発環境「e2 studio」対応のプラグインで、「e-AIトランスレーター」「e-AIチェッカー」「e-AIインポーター」からなる。これらのプラグインツールは2017年6月末より無償で提供される。また、e-AIトランスレーターとe-AIチェッカーはWebコンパイラにも対応しており、パートナー製の小型電子工作ボードを活用して、e-AI対応機器の開発を速やかに行うことができるという。
これらの特長は、既存のプログラムや従来装置にAIユニットなど追加することで、組み込み機器を容易にインテリジェント化できることだ。また、セキュリティについても、コンフィデンシャリティ(機密性)、インテグリティ(完全性)、アベイラビリティ(可用性)をエンドポイントで担保する。サイバー攻撃などからIoT機器を保護することが可能となる。
IoT機器のセキュリティ基盤を開発するため同社は、セコムおよびセコムトラストシステムズと協業することも発表した。機器やシステムの設計・製造から運用・サービス、機能拡張に至る全ての領域で強固なセキュリティを実現していくことが狙いだ。
「スマートホーム」「スマートファクトリー」「スマートインフラ」の3分野における応用事例もいくつか紹介した。ベルトコンベヤーの振動情報解析、生体情報測定、建物などの状態監視と非常時の自律判定、姿勢制御などを行い自律走行のサービスロボットなどである。
さらに、e-AIを支えるデバイス技術として開発中のMCU・MPUやオフロードエンジンDRPなどについても触れ、その性能やロードマップを示した。
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