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ルネサス、DevCon 2017基調講演ダイジェスト自動運転と組み込みAIを強調(3/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは2017年4月11日、プライベートイベント「Renesas DevCon Japan 2017」を開催した。基調講演では同社首脳が、「e-AI(embedded-AI)」や「Renesas autonomy」について、応用事例を交えてその狙いや効果を紹介した。

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自動運転車向けのコンセプト「Renesas autonomy」


執行役員常務で第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏

 続いて登壇したのは、ルネサス エレクトロニクスの執行役員常務で第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏。自動車業界の変化と自動運転時代に向けた同社のコンセプト「Renesas autonomy」について、その概要を紹介した。

 同氏は業界の変化として3つのキーワードを挙げた。「エコカー(電動化)」「コネクテッドカー」「自動運転」である。また、将来の自動車は「オーナーカー」と「サービスカー」という、2つの潮流があるという。これらは顧客のニーズによって優先順位が変わり、技術の進化も少し異なるという。オーナーカーは「走る楽しさ」「運転する喜び」など運転者が主体となる。これに対してサービスカーは、移動手段の利便性などから完全自動化技術が強く求められるという。


「オーナーカー」と「サービスカー」の技術進化 (クリックで拡大) 出典:ルネサス

 こうした中で同社は、3つのキーワードに対してそれぞれソリューションを用意している。例えば、エコカー(電動化)では100kW級インバーターを従来に比べて4分の1に小型化できるソリューションを提案する。小型軽量化によって電動モビリティへの応用が拡大するとみている。

 コネクテッドカーに向けては、クラウド連携サービスで必要となる、高速かつ堅固な通信を実現するコミュニケーション・ゲートウェイを提供する。これによって、車両1台当たり50〜100個搭載されるマイコンやSoCとクラウドとの通信を安全に行うことができる。運転者の運転レベルや健康状態の情報をセンサーで収集し、クラウド側で活用することも可能になるという。

 自動運転に向けては、レベル4に対応したデモカーを用意した。単なる自動運転の機能検証だけではなく、ICチップの故障やサイバー攻撃によるトラブルにも安全に対応するための技術を検証し、自動車メーカーなどへ提案している。

 自動運転には、さまざまなセンシング技術が用いられる。今回新たに、レーダー分野でAnalog Devices(ADI)との協業を発表した。ルネサス製レーダー向けマイコン「RH850/V1R-M」と、ADI製「Drive360 28nmCMOSレーダープラットフォーム」を組み合わせて、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転向け77GHz・79GHz帯レーダーセンサーシステムを開発した。従来システムに比べて3倍の分解能を実現しており、より広く詳細に検知することができるという。


自動運転に対応したセンシング・コグニティブソリューション (クリックで拡大) 出典:ルネサス

 大村氏は、「自動運転に向けたスマートカメラやレーダー向け半導体ビジネスでは、多くの受注を獲得している。2016年度におけるADASやセーフティ関連の新規商談は2000億円を上回っており、既にコア事業の1つとなっている」と強調する。

 自動運転を可能にするソリューションを提供するため、同社はさまざまな企業と連携している。オーストラリアのTTTechやカナダのウオータールー大学といったグローバルパートナーの他、「R-Carコンソーシアム」のメンバーも含めて、その数は200社を上回る規模に拡大している。

 ルネサスは、自動運転社会の実現に向けて、新たなコンセプト「Renesas autonomy」を掲げた。クラウドサービスからセンシング、車両制御まで、エンドツーエンドのトータルソリューションを実現するための、オープンな開発プラットフォームとして提供していく。


自動運転時代に向けた新コンセプト「Renesas autonomy」の概要 (クリックで拡大) 出典:ルネサス

 これまでも、対応してきたソリューションだが、クラウドとの連携強化などによって、トータルソリューションのコンセプトをより明確にした。

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