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インタビュー

エンドユーザータッチという価値で勝負する商社半導体商社トップインタビュー 菱洋エレクトロ(2/4 ページ)

再編が進み大きく業界地図が塗り変わりつつある半導体業界。半導体を取り扱う半導体商社の経営環境も激変期にある。そこで、EE Times Japanでは各半導体商社の経営トップにインタビューし、今後の成長、生き残り戦略を聞く企画を進めている。今回は、バリュー追求型の商社として成長を目指す菱洋エレクトロの大内孝好社長に聞いた。

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エンドユーザータッチで生まれたB2B2Eビジネスモデル

EETJ 半導体/デバイス事業とともに、ICT機器事業を展開するエレクトロニクス商社は、菱洋エレクトロ以外にもあります。

大内氏 少し勝手かもしれないが、当社のICTビジネスは“エンドユーザータッチ”という点で特長があると自負している。例えば、病院向けのICTを展開する場合、われわれは直接、病院にタッチできる。ドラッグストア向けのICTシステムであれば、直接、ドラッグストアに提案を行っている。こうしたエンドユーザーに直接、タッチできているケースはとても多い。

 デバイスビジネスでは、モノを作るというプロセスに対しB2B(Business to Business)を、ICTではB2E(Business to End-User)を手掛け、菱洋エレクトロとしてB2B2Eをカバーしている。だから、これまでデバイスを納品してきたB2B顧客の先にいるエンドユーザーにタッチできているからこそ、本当に価値のあるバリューを提供できるという強みがある。

顧客の製品を担ぎエンドユーザーへ

EETJ エンドユーザーにアプローチしているからこそ提供できたバリューの具体例を教えてください。

大内氏 例えば、2017年4月25日に発表した東急テクノシステムと連携した踏切などにおける安全性向上実証実験がある。この実証実験は、踏切のカメラとAI/ディープラーニングに対応したクラウドをLTEで結び、カメラ映像を低遅延で電車や駅係員などに配信するものだ。


東急テクノシステムなどと連携して実施する実証実験の概要 (クリックで拡大) 出典:菱洋エレクトロ

 この実証実験ではカメラとLTEを結ぶゲートウェイを使用する。これまで半導体デバイスを納めていた顧客の中にはゲートウェイを製造するメーカーもある。そうしたゲートウェイメーカーにとっての顧客である鉄道向け電気機器施工を手掛ける東急テクノシステムのニーズを菱洋エレクトロが把握し、ゲートウェイメーカーに伝える。そしてゲートウェイメーカーがニーズを反映した製品を作り、その製品を菱洋エレクトロが担いでエンドユーザーに販売する。いわばB2B2Eでグルグル回すようなビジネスは、他にも多くある。


B2B2Eビジネスモデルとして構築を目指すエコシステムのイメージ (クリックで拡大) 出典:菱洋エレクトロ

エンドユーザーの事業そのものにタッチできたからこそ

EETJ 菱洋エレクトロはICT事業を20年以上前から手掛けています。B2B2Eのビジネスモデルを実践する機会はこれまではなかったのですか。

大内氏 過去からエンドユーザーにタッチしたビジネスを展開してきたのだが、これまでIT活用は、基幹システムなどITインフラの領域にとどまり、エンドユーザーの収益につながる事業との関わりはなかった。しかしIoT化などの流れで、ICTの活用が事業領域、ビジネスへと広がり、エンドユーザーの事業そのものにタッチできるようになった。これにより、エンドユーザーのビジネスでのニーズを聞き取ることができるようになり、次第にB2B2Eのビジネスモデルが実践できるようになった。

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