発熱を抑えた小型DC-DCモジュール群 MPSが展示:テクノフロンティア 2017
MPS(Monolithic Power Systems)は、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、DC-DCパワーモジュールや、センサーを内蔵したブラシレスDC(BLDC)モーター用FOC(Field Oriented Control)コントローラーなどを展示した。
発熱を抑えて小型パッケージに、DC-DCパワーモジュール
MPS(Monolithic Power Systems)の日本法人であるMPSジャパンは、「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」で、同社が注力するDC-DCパワーモジュールや、センサーを内蔵したBLDCモーター用FOCコントローラーなどを展示した。
インダクターを内蔵したDC-DCパワーモジュールは、展示の目玉の1つだ。サーバやPC、産業機器、自動車など幅広い用途をターゲットとしている。MPSジャパンでカントリーマネージャーを務める奥山祐二氏は、「モジュールは幅広い用途で簡単に使えるので、使い勝手はいい。ただし、小型パッケージに部品を搭載するので、どうしても発熱の問題は避けて通れない。当社は発熱を抑えつつ、小型パッケージに集積する技術に強みを持っている」と説明する。
デモでは、MPSのDC-DCパワーモジュールと、他社のDC-DCコンバーターICの発熱をサーモグラフィーで撮影し、比較した。出力電力を同じにしている。その結果、MPSの製品は約50℃前後だったが、他社製品は100℃近くまで上昇しているものもあった。
MPSのDC-DCパワーモジュール(左側)と、競合2社のDC-DCコンバーターIC(右側2個)の発熱を比較したデモ。MPSの製品の温度は、明らかに低いことが分かる。しかも、パッケージサイズはMPSの製品が最も小さい(クリックで拡大)
ホール素子とエンコーダーを使わずにモーターを駆動する
MPSが今後注力する市場が、モータードライバーとセンサーだ。その一環としてMPSは2014年、角度検出用の磁気センサーなどを手掛けるスイスのSensima Technologyを買収している。
テクノフロンティアでは、角度センサーを内蔵した3相BLDCモーター用FOCコントローラー「MP6570」や、3相BLDCモーター用パワーステージ「MP654X*)」、磁気式角度センサー「MagAlpha」を展示した。
*)入力電圧範囲や出力電流、パッケージサイズが異なる「MP6540」「MP6541」「MP6542」がある。
MP654Xは、3相モーター駆動用のMOSFETを内蔵し、出力電流は5A、8A、11Aがある。MP6570と組み合わせることで、ホール素子とエンコーダーを使わずにモーターを駆動できる。MP654Xのパッケージは最大で6×6mmのQFN、MP6570は4×4mmのQFN。小型から中型のモーター駆動をターゲットとする。
MPSジャパンがテクノフロンティアに出展するのは3年ぶりだ。同社によれば、売上高は前回出展した時に比べて約3倍となり、日本のチームの人数も約2倍に増えた。奥山氏によれば、日本だけでなく世界全体でもMPSは好調だという。MPSの過去5年間における年平均成長率は世界全体で18%。日本法人の売上高の比率はまだ低いが、奥山氏は「2016年度、2015年度と、売上高は前年比で25%増加している」と述べる。伸びている理由の1つは、MPSの製品が採用される分野が広がっていることだ。奥山氏によると、約7年前は、出荷された製品の90%がTV向けだった。現在は、その比率が25%になっている。「だが、TV向け製品の売上高は、ほぼ横ばいで下がっていない。他の分野での売上高が確実に伸びているということだ」(奥山氏)
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