アドバンテックのIoT戦略、その向かう先は?:Industry4.0などをターゲットに
アドバンテックが同社の次世代IoT戦略を発表した。2017年5月11日に開かれた説明会では主に、エッジインテリジェンスサーバ「EIS シリーズ」のリリースと、「Linux&Androidアライアンス(ELAA)」の発足について語った。
注目市場はIndustry4.0とスマートシティー
Advantechの日本法人アドバンテックは2017年5月11日、同社の次世代IoT戦略がテーマの説明会を開催した。説明会ではアドバンテック社長のマイク小池氏が登壇し、同社が新たにリリースしたエッジインテリジェンスサーバ「EIS シリーズ」と、IoTでのARMソリューションの活用促進を目的として発足した「Linux&Androidアライアンス(ELAA)」について語った。
マイク小池氏は冒頭で、アドバンテックが注目しているIoT市場として、Industry4.0とスマートシティーを挙げた。中でもIndustry4.0が最も伸びしろのある市場だとし、「特に日本の場合、若者への技術の継承が進んでいない。この問題は土木建築など、職人芸の世界では特に深刻だが、IoTを活用すれば乗り越えられる」と述べた。
一方、スマートシティーに関しては、「遠隔監視ガスタービンの予兆保全、ドローンを使った伝送線の巡視や点検、携帯端末で開栓作業の結果を迅速に報告するシステムなど、エネルギー管理へのIoTの活用が加速するだろう」と説明した。
ソフトバンクのARM買収がきっかけ
そうした状況の中、Industry4.0やスマートシティーの分野では近年、エッジコンピューティングの導入が進んでいる。そこで、アドバンテックは同社のIoT戦略の一環として、エッジインテリジェンスサーバ「EIS シリーズ」の提供を開始した。
今回リリースされるEIS シリーズは、エントリーレベルエッジサーバの「EIS-D110」と、WISE-PaaSソフトウェアパッケージ、ワイヤレスI/Oモジュール、センサー、Microsoft Azureサービスなどをあらかじめ含む「EIS-DK10スターターキット」の2製品となる。
もう一つの戦略は、Linux&Androidアライアンス(ELAA)を設立したことだ。ソフトバンク傘下となったARMがIoTに参入したのを背景にELAAは発足した。マイク小池氏は、「ARMのIoT参入で誕生する市場は重要だ。しかし、ソフトウェア周りではまだ環境が整っておらず、ARM製品のIoTへの採用が遅れている。そこで、複数のハードウェア企業やソフトウェア企業を招いてELAAを設立した」とELAAの意義を説明した。
ELAAでは、組み込みLinuxとAndroid OS用のオープンで統一されたアーキテクチャの標準化されたボードの採用を、産業用組み込み、IoTアプリケーション向けに推進することに取り組む。現時点ではThunderSoftやAIMobileなど10社が参加。参加企業については今後も、さまざまな地域から招くという。
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