トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか:勢いづくNVIDIA(1/3 ページ)
2017年5月10日、トヨタ自動車がNVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームを採用する計画を明かした。自動車用AIプラットフォームを巡っては、Mobileye買収をするIntelと、NVIDIAが激しく競り合う。トヨタの採用でNVIDIAの優勢が明白になったが、勝敗の決着はまだ先のようだ。【訂正】
NVIDIA主催イベントで計画明かす
NVIDIAは2017年5月10日、米国シリコンバレーで開催した同社主催のカンファレンス「GPU Technology Conference」で、トヨタ自動車がNVIDIAの自動車用AI(人工知能)プラットフォーム「Drive PX」を採用する計画であることを明らかにした。このプラットフォームは、市場投入が予定されている高度な自動運転システムに用いられる。
Linley Groupの主席アナリストであるMike Demler氏は、トヨタの計画について「大きな動きとなる可能性がある」と述べた。
NVIDIAの自動車用AIコンピュータープラットフォームと、IntelとMobileye*1)によるプラットフォームの間で競争が起こりつつある中、勢いを付けつつあるのはNVIDIAだとみられる。
*1)Intelは2017年3月13日(米国時間)に、Mobileyeの買収を発表している。買収は2017年内にも完了する見込み(関連記事:IntelがMobileyeを153億ドルで買収へ)
IHS AutomotiveのインフォテインメントおよびADAS部門でリサーチディレクターを務めるEgil Juliussen氏によると、自社の高度に自動化された自動車に、NVIDIAのDrive PXを採用することを公式に表明した大手自動車メーカーは、トヨタで4社目になるという。トヨタ以外の3社はAudi、Daimler、VW Groupであるので、世界の二大自動車メーカー(トヨタとVW)が名を連ねていることになる。
加えて、これらの自動車メーカーよりも規模の小さいVolvo、Tesla、Nio(以前はNextEVとして知られていた)などの自動車メーカーも、既にNVIDIAのプラットフォームを採用している。また、Boschや ZFといったティア1サプライヤーも、NVIDIAのハードウェアプラットフォームを導入している。以上のことから、今後さらに多くのメーカーにも同様の動きが広がる可能性があるとJuliussen氏は考えているようだ。
2017年5月10日、NVIDIA主催のカンファレンスに参加したDemler氏は、Fordの自動運転車部門であるArgo.aiが、「Deep Learning in Argo.ai’s Autonomous Vehicles(Argo.aiの自動走行車における深層学習)」というタイトルの発表を行ったことに言及した。
Demler氏は、自動車産業がいまだレベル4やレベル5の自動走行車の開発において、極めて初期のステージにある点に留意することが重要であると警告した。特定のプラットフォームの“勝利”を宣言するのは時期尚早である、ということだ。一方のJuliussen氏は「他の自動運転車プラットフォームが出現する可能性もある」と述べた。
とはいえ、今のところは、NVIDIAが勢いづいているのは明白である。
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