SiCデバイスの開発を加速するリテルヒューズ:“第3勢力”として挑む(1/2 ページ)
Littelfuseは、パワー半導体の展示会「PCIM Europe 2017」(2017年5月16〜18日、ドイツ・ニュルンベルク)で、SiCパワーデバイスと、それらを搭載した評価ボードやデモボードを展示した。回路保護素子のイメージが強い同社だが、SiCパワーデバイス市場の成長を見込んで開発を加速している。
SiCパワーデバイス1色の展示
IGBTの世界を、SiC-MOSFETでひっくり返したい――。
そう語るのは、米Littelfuse(リテルヒューズ)の半導体製品事業部 ビジネスデベロップメントマネージャを務める吉本幸一郎氏だ。その言葉を裏付けるかのように、「PCIM Europe 2017」のLittelfuseのブースは、SiCパワーデバイス1色だった。
Littelfuseというと回路保護素子のイメージが強いが、SiCパワーデバイスの開発にも4〜5年前から注力している。SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)から始めて、2015年には、SiCパワーデバイスの開発を手掛ける米Monolith Semiconductor(以下、Monolith)と提携。耐圧1200VのSiC-MOSFETの開発も進めている。2017年3月にMonolithの株式の51%を取得し、SiCの開発を加速している。Monolithは、設立こそ2012年と新しいが、SiCの研究開発に20年以上携わってきた研究者が集まっているメーカーだ。
PCIM Europe 2017では、ディスクリートのSiC-SBD、SiC-MOSFETの他、これらを搭載した評価ボードとデモボードを展示した。現時点でLittelfuseが量産している製品は、耐圧1200VのSiC-SBDと、TO-247の3端子パッケージのSiC-MOSFETである。
製品化しているSiCパワーデバイスのラインアップ。SiC-MOSFETについては、左端の3端子TO-247パッケージ品のみが製品化されている。4端子TO-247パッケージ品とTO-263パッケージ品は、間もなく市場に投入するという(クリックで拡大)
2018年には、SiC-SBD、SiC-MOSFETともに耐圧のラインアップを増やす。SiC-MOSFETは900Vと1700V品を、SiC-SBDは650Vと1700V品をそろえる予定だという。吉本氏は、「SiC-MOSFETで900Vと1700Vが加われば、現在使われているSi-IGBTの大半を置き換えられると考えている」と述べる。2019年以降は、全く新しい設計を採用したSiC-MOSFETとSiC-SBDを開発する予定で、モジュールの開発も計画している。吉本氏によれば、ディスクリート品だけでなくモジュールへのニーズも高いという。
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