Western Digital、「iNAND」の車向け展開を加速:車でのデータ扱い量増える中で(3/3 ページ)
Western Digital(ウェスタンデジタル)は、自動車市場に対し、組み込みフラッシュドライブ製品群「iNAND」の展開を加速させる。自動車市場でも低コスト、大容量のメモリへのニーズが広まり、iNANDの特長を生かしニーズの取り込みを図るようだ。
NOR、SRAMなどのメモリとともに
Bergey氏は、「現代の自動車が複数のサブシステムで構成されることを考えると、NOR型フラッシュメモリやSRAMなどの複数のメモリ技術が搭載されるようになると予想される。ただし、あらゆる電子機器を自動車に搭載するとなれば、ビット単価を抑えながら多くのストレージを確保する必要がある。NANDフラッシュは、低コストでシステムレベルの信頼性を提供できる最適解だ」と述べている。
米国の市場調査会社であるTECHnalysis Researchでプレジデント兼主席アナリストを務めるBob O'Donnell氏は、「フラッシュメモリの容量と信頼性は、突如、急増している自動車のアプリケーション要件、自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100 Grade2」および「AEC-Q100 Grade3」で規定された温度範囲、不揮発性メモリベースの製品のISO26262設計ガイドラインの全てに対応できる。自動車は10〜15年使用されるため、長期間データを保存できるという非常に厳しい基準を満たさなければならない」と述べている。
O' Donnell氏は、EE Timesとの電話インタビューで、「コネクテッドカー、特に自動運転車がどれくらいの量のデータを分類、処理するかを過小に見積もってはいけない。自動運転車は、1日当たり4テラバイトのデータを生成する。高解像度マップやセンサーデータへの対応もさらに求められるようになる。今はまだ、それほど膨大なメモリは必要とされていないが、今後ますます多くのメモリーが必要になる」と指摘した。
「フラッシュメモリは、猛烈な勢いで成長している」
自動車メーカーは、数シーズン先の製品の開発に備えて、大容量ソリューションについて検討し始めなければならない時期に入っている。
O' Donnell氏は、「自動車向けNANDフラッシュは、スマートフォンの場合と同じように採用および拡張されると予想される。ただし、最新スマートフォンの最大容量256Gバイトであるのに対し、自動車のストレージの需要はそれを上回っている。ローカルストレージの需要は、今後も増え続けると予想される」と述べている。同氏はまた、「コネクテッドホームも、Western DigitalのiNANDのようなフラッシュメモリ製品の成長セグメントとして期待される。ただし、容量の点では自動車と対極にある。Amazonのアシスタント端末『Amazon Echo』のような人気商品は、主にシンクライアントだ」と指摘している。形態の違いはあれ、「フラッシュメモリは、猛烈な勢いで成長している」(同氏)
【翻訳:田中留美、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NANDフラッシュの基本動作(後編)
前編に引き続き、NANDフラッシュメモリの中身を解説する。今回は、NANDフラッシュメモリに特徴的なMLC(Multi-Level Cell)方式、TLC(Triple-Level Cell)方式といった多値記憶技術の他、書き換え回数やデータ保持期間などを説明する。 - 「SSDが壊れる」まで(前編)
ノートPCなどのストレージとして急速に市場が拡大しているSSD(Solid State Drive)。その信頼性に対するイメージはHDDと比較されることが多いが、「平均故障間隔」と「年間故障率」の数値を単純に比較すればいいというわけではない。そこで今回は、SSDの寿命にかかわる要素を解説する。 - 東芝、16年度は赤字9500億円も17年度は黒字へ
東芝は2017年5月15日、2016年度の最終赤字は9500億円になるとする業績見通しを明らかにした。合わせて、2017年度業績見通しも公表し、2016年度から一転、最終黒字を確保する考えを明らかにした。 - 東芝問題は日本の製造業に共通し得る課題なのか
米国の原子力子会社の巨額損失により債務超過に陥るなど経営危機を迎えている東芝。経営危機に陥った理由を分析していくと、東芝固有の問題だけではなく、他の日系電機メーカーにも起こり得る共通の課題が見えてくるのだった。 - MLC、pSLCフラッシュに対応した産業用SSD、TDK
TDKは、CFastカード形状の産業用SSD「CAS1Bシリーズ」の発売を2016年1月から開始すると発表した。同製品は、SATA Gen3に対応したNAND型フラッシュメモリ制御IC「GBDriver GS1」を搭載。信頼性を確保するとともに、高容量かつ堅牢なカード形状を実現したという。 - トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか
2017年5月10日、トヨタ自動車がNVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームを採用する計画を明かした。自動車用AIプラットフォームを巡っては、Mobileye買収をするIntelと、NVIDIAが激しく競り合う。トヨタの採用でNVIDIAの優勢が明白になったが、勝敗の決着はまだ先のようだ。【訂正】