三菱電機、未来への扉を開く研究開発戦略を発表:目指すはSociety 5.0など(2/2 ページ)
三菱電機が研究開発成果の披露会を開催した。披露会では、IoTやAIを含む20点の研究開発成果を紹介すると同時に、同社の研究開発の戦略についても説明。さらに、機器やエッジへの組み込みを想定した同社独自のAIブランド「Maisart」も発表した。
AIの開発、機器メーカーならではの強み
藤田氏は次に、どの分野で三菱電機が研究開発を進めるのかを説明した。研究開発成果の一覧表が示すように、三菱電機の研究開発テーマは全て、4つのカテゴリーのどれかに含まれる。この中で三菱電機は特にIoTを重視しているという。スマートモビリティ、快適空間、安心安全インフラといった他のカテゴリーの根幹をも成しているためだ。
三菱電機がIoTの分野で最も力を入れて取り組んでいるのはエッジコンピューティングの研究だ。機器メーカーとして長年培ってきた経験を生かしているという。機器が収集したデータを機器やエッジで処理できれば、ネットワークで遅延が生じることも、大量のデータをクラウドに上げる必要もなくなる。そのため、三菱電機は機器やエッジにAIを組み込むべく、ディープラーニング、強化学習、ビッグデータ分析の演算量を押し下げる研究を進めている。
それらの研究成果を統合したものが、三菱電機のAIブランド「Maisart(マイサート)」だ。「独自のAI技術で全てのものを賢く(Smart)したい」との思いから、Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technology(Maisart)と名付けたそうだ。今後、同社の製品に順次搭載していくという。今回の研究成果でいえば、Maisartは既に「金融バックオフィスの自動化」「スマートに学習できるAI」「AIを用いた音声分離技術」に採用されている。
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