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AppleとIntel、それぞれの競合をけん制する動きキーマンの雇用や新製品の発表で

AppleとIntelが、それぞれのライバルをけん制する動きを見せている。Appleは、Qualcommの元エンジニアリング担当バイスプレジデントを雇用したことが明らかになった。そしてIntelは、AMDの新製品の性能を上回る「Core i9」を投入する。

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それぞれのライバルをけん制?

 2017年5月30日(米国時間)、AppleとIntelがそれぞれ、お互いのライバルをけん制するような動きを見せ、半導体市場の競争が激しさを増している事実が浮かび上がった。AppleはSoC(System on Chip)関連の取り組みのけん引役として、Qualcommのエンジニアリング部門の最高幹部を雇い入れた。一方のIntelは、ハイエンドPC用プロセッサの新シリーズを発表し、AMDとの競争で一歩先に出た。


Esin Terzioglu氏

 Appleが雇用したのは、Qualcommの元エンジニアリング担当バイスプレジデントであるEsin Terzioglu氏である。同氏は過去8年にわたり、Qualcommの半導体部門の中心的なエンジニアリンググループを率いてきた人物だ。

 Terzioglu氏はLinkedInへの投稿で今回の転身を明らかにした。LinkedInへの投稿はCounterpoint ResearchのアナリストであるNeil Shah氏によるツイートで公になった。Terzioglu氏はその後LinkedInを更新していないため、Appleでの新しいポジションは明らかではない。業界筋の予想では、Terzioglu氏はAppleの半導体関連の取り組みを主導することになるようだ。おそらくは、Apple独自のベースバンドプロセッサ開発への進出を指揮するようになるとみられる。

 今回の動きは、AppleとQualcommの法廷闘争がこう着状態にある中で起こった。2社はQualcommが保有するセルラー関連技術の特許使用料(ロイヤルティー)を巡り争っている。

 Appleは2017年1月、Qualcommが請求するロイヤルティーは法外な額である上に、QualcommがAppleに対して沈黙するようプレッシャーをかけたと主張した。2017年4月にはQualcommが反訴している(関連記事:QualcommがAppleの提訴に反訴、特許係争は泥沼化)。

 Terzioglu氏はQualcommに入社する前、スタートアップのNovelicsでCTO(最高技術責任者)兼CFO(最高財務責任者)を務めていた。なお、Novelicsは後にMentor Graphicsに買収されている。また、同氏は6年にわたり、CTO室付きの主席サイエンティストとしてBroadcomに勤務していたこともあるという。Terzioglu氏は米スタンフォード大学で電気工学の博士号と修士号を取得した。

 Linley GroupのMike Demler氏は「Appleは『iPhone内部のほぼ全てを自社で設計したい』という希望をさらに強めているようだ。同社による特許出願の状況を踏まえると、Appleが過去数年間でベースバンドラジオの開発に注力しているのは間違いない。そればかりか、RFシグナルチェーン全体を設計しようとしている可能性すらある」と述べている。

AMD「Ryzen Threadripper」を上回るプロセッサ

 一方、Intelは「Core i9 Extreme Edition」ファミリーを発表した。このシリーズには、AMDが2017年5月に発表した16コア32スレッドのチップ「Ryzen Threadripper」を上回る、18コア36スレッドのチップが含まれている。

 「Extreme Edition」は伝統的に、出荷数は小規模でも、大幅な利益を出してきたファミリーであり、PC市場におけるIntelのリーダーシップ維持に貢献してきた。同ファミリーのローエンド品は、4コア、シングルスレッドのチップで、動作周波数は4GHz、消費電力は112W、DDR4を2チャンネル備えている。

 ハイエンド品は18コア36スレッドで、価格は1999米ドルだ。オンラインで公表されているデータシートには消費電力は明記されていない。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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