機能、デザインを一新した“新基準オシロ”を投入:テクトロがミッドレンジ機
Tektronix(テクトロニクス)は2017年6月6日、ミッドレンジを狙った主力オシロスコープ製品としてアナログ入力最大8チャンネルまでのモデルをラインアップする「5シリーズ」を発表した。
70年の歴史で、最大の開発費を投じた新製品
Tektronix(テクトロニクス)70年の歴史で、最大の開発費を投じた新製品――。
Tektronixは2017年6月6日、ミッドレンジ向けオシロスコープの新製品として「5シリーズ」を発表した。搭載デバイスから筐体に至るまであらゆる部分で従来モデルから設計を一新し、「従来の基準を変える革新のミッドレンジ オシロスコープ」として位置付ける。
Tektronixは「5つの世界初」を主張
新製品5シリーズは「5つの世界初を搭載した」とTektronixは主張する。4チャンネルモデルから6チャンネル、8チャンネルモデルまでの製品構成、構成自由なオシロスコープ入力機能、静電容量式タッチパネル搭載15.6型フルHDディスプレイの搭載、タッチ操作用に最適化されたユーザーインタフェース、オペレーションシステムが選択可能、という5つだ。
まず、三相モーター/インバーター、電源設計などの用途では、オシロスコープに4つ以上のアナログ計測が不可欠となっている中で、最大8チャンネルのアナログ入力を備える製品を用意。1台のオシロスコープで手軽に計測できる領域を大きく拡大させた。
各入力はアナログ/デジタル可変、OSも選べる
各入力チャンネルは、オプションのデジタルプローブを接続することで、デジタル入力(1入力当たり8チャンネル)に変更できる構成自由なオシロスコープ入力機能「FlexChannel」とした。アナログ8チャンネルモデルでは、デジタル64チャンネルまで対応可能。アナログプローブ、デジタルプローブの組み合わせによって自在に入力をアナログ、デジタルに変更できる。
オペレーションシステム(OS)は、Tektronix独自の専用組み込みOSに加え、ユーザーがオシロスコープ上で独自アプリケーションを実行できるようにWindowsでの動作も選択可能できるようにした。OSの切り替えは、WindowsがインストールされたSSDを接続、取り外しだけで行える。なお、「専用OSモデル、Windowsモデルともにユーザーインタフェース、操作方法は同一だ」とする。
ユーザーインタフェース、外観も一新
ユーザーインタフェースについては、計測器としては大型のタッチパネル搭載15.6型フルHDディスプレイを採用。大型タッチパネルを生かしたより直感的なユーザーインタフェースに刷新し、使いやすさも大きく向上させたという。
オシロスコープとしての性能も、新規開発の12ビットA-Dコンバーターにより「業界トップクラスの垂直分解能を実現した」という。さらに「Hi Resモード」を使用すると、最高で16ビットの垂直分解能を得られるという。フロントエンドアンプ部も低ノイズ化を図り、従来比約4.5dB小さい低ノイズ性能を実現した。
サンプルレートは6.25Gサンプル/秒、最大レコード長は125Mポイント(標準は62.5Mポイント)。波形取り込みレートは50万波形/秒。周波数帯域は4、6、8チャンネルモデルともに350MHz、500MHz、1GHz、2GHzから選択できる。価格は、158万円から518万円(本体価格)となっている。
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