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Qualcomm、新SnapdragonでIntelの牙城に参入モバイルPC向けプラットフォーム

Qualcommが、最新SoC(System on Chip)「Snapdragon 835」で、Intelの独壇場であるモバイルPC向けCPU市場に参入した。

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Intelの牙城へ


「Snapdragon 835」(クリックで拡大)

 Qualcommは、同社の最新SoC(System on Chip)「Snapdragon 835」に対応したモバイルPC向けプラットフォームを発表し、Intelの牙城であるPC向けCPU市場へ参入を宣言した。Intelは同市場で、30年以上にわたり50%以上のシェアを誇ってきた。

 Snapdragon 835は、ARMベースのコア「Kryo 280」を搭載したCPU、GPU「Adreno 540」、DSP「Hexagon 682」を集積している。10nmプロセスを採用したものだ。「Snapdragon X16 LTE」モデムチップも搭載している(関連記事:Qualcommの新Snapdragon、10nmプロセスを採用)。

 Microsoftは中国の深セン市で2016年12月8〜9日に開催したハードウェア開発者向けイベント「WinHEC」で、QualcommのSoCでサポートする「Windows 10」を発表したが、そのSoCがSnapdragon 835である。MicrosoftはWinHECで、「Windowsは初めて、電力効率に優れ、常時接続されたモバイルPCで、あらゆる通常アプリケーションや周辺機器、エンタープライズ向け機能を利用できるようになる」と述べていた。

 Windows 10(2015年にリリース)は、Microsoftが「ユニバーサルアプリ対応」と紹介しているように、ほぼ単一のコードで記述したアプリケーションを、PCやタブレット、スマートフォン、組み込みシステム、家庭用ゲーム機「Xbox One」など、Microsoftの複数の製品ファミリーで動作させることができる。

 Qualcommは、台湾・台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」(2017年5月30日〜6月3日)で、ASUSやLenovoなどのPCメーカーから支持を得ていることを明らかにした。ただし、一部のアナリストは、新しいSnapdragonについての評価を保留している。

 米国の市場調査会社IDCでデバイスリサーチ担当バイスプレジデントを務めるBryan Ma氏は、「Snapdragon 835は、仕様書通りの長いバッテリー寿命や常時接続性を本当に実現できるのであれば、かなり有望だといえる。x86ベースのシステムは、こうした課題に苦戦を強いられていた」とする一方で、「ポイントはエミュレータにある。実際に見たデモは私の予想を上回るものだったが、完璧ではなかった」とも述べている。

 Ma氏は、「Snapdragon 835はまだ開発中だ。最終的にPCが市場に投入された後に公開されるはずのテスト結果を待ちたい。QualcommのチップがIntelに対してはっきりとした影響を及ぼすようになるには、5年ほどかかるだろう」と述べている。

 一方、IntelにはQualcommにはない強力なOEMマーケティングプログラムがある。Intelの牙城は、Snapdragon 835では崩せないだろう。

モバイル市場では弱い分野もあるIntel

 ただし、たとえそうだとしても、Intelはモバイルシステム市場には弱い部分もあることから、Snapdragon 835は機器メーカーのデザインウィンをさらに獲得すると予想される。

 ASUSのCEO(最高経営責任者)を務めるJerry Shen氏は、「PCエコシステムは進化を続けている。この進化には、成長が続いているモバイルコンピューティング分野での技術革新が必要だ。新しいSnapdragon Mobile PCプラットフォームによって、当社はWindows 10製品のラインアップを強化し、常時接続という新たなユーザー体験を提供できるようになるだろう」と述べている。

 Lenovoのシニアバイスプレジデントを務めるJeff Meredith氏は、「MicrosoftおよびQualcommとともに、PCの未来を変えるような新しいデバイスをユーザーに提供できることを楽しみにしている」と語った。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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