東芝の対抗措置は合弁契約に違反、WDが表明:泥沼化は必至か
「東芝メモリ(TMC)が保有するSanDiskとの合弁会社の出資持分を、東芝本体に戻す」との東芝の発表を受けて、Western Digital(ウエスタンデジタル、WD)はすぐさま、東芝の行為は、WDの子会社であるSanDiskとの合弁契約に抵触するとの声明を発表した。
「合弁契約に違反」、あらためて主張
Western Digital(ウエスタンデジタル/以下、WD)は2017年6月2日(米国時間)、東芝が日本時間の同日に発表した、WDへの対抗措置を受けて、こうした行為はSanDiskとの合弁契約に違反するとの声明を、あらためて表明した。
東芝はメモリ事業への外部資本導入を決定後、2017年4月に、メモリ事業を子会社の東芝メモリ(TMC)に移管して分社化した。これに対しWDは、WDの子会社のSanDisk(サンディスク)を通じて、「東芝がSanDiskとの合弁会社の出資持分をSanDiskの同意なくTMCに承継させたことが、東芝とSanDiskとの間の合弁契約に違反している」と主張し、入札手続きの差し止めを国際仲裁裁判所に申し立てている。
東芝は、メモリ事業の入札手続きに対してWDが「看過できない妨害行為を継続的に行っている」と主張し、TMCが保有するSanDiskとの合弁会社の出資持分を、6月3日にTMCから東芝本体へ移管することを決定した(関連記事:東芝、WDの「看過できない妨害行為」に対抗)。
東芝のこの発表を受けたWDは、すぐさま冒頭の声明を発表した。WDの主張を要約すると、おおむね以下の3点となる。
- WDは、「SanDiskとの合弁会社の出資持分をTMCから東芝本体に戻すという、今回の行為は、SanDiskとの契約上の合意に違反する」との立場を保持する
- 今回の東芝の決定は、入札手続きの差し止めを申し立てているSanDiskの要求を解決するものにはならない。従って、仲裁申立は継続されることになる
- WDは、SanDiskの同意を得ずに、合弁会社の出資持分を第三者に譲渡するという東芝の行為は、合弁事業契約の移管防止条項に明確に違反していると考えている
ブルームバーグの報道の報道によれば、WDのCEO(最高経営責任者)であるSteve Milligan氏が今週にも来日し、東芝に新たな買収提案を行う予定だという。
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