村田製作所、金属対応のRFIDタグを公開:JPCA Show 2017
村田製作所は、「JPCA Show 2017」で、開発中の金属対応タグ(メタルタグ)を始め、RFIDタグ「マジックストラップ」を活用したプリント基板向けRFIDソリューションを展示した。
メタルタグ、2017年中にも量産へ
村田製作所は、第47回 国際電子回路産業展「JPCA Show 2017」(2017年6月7〜9日、東京ビッグサイト)で、LTCC基板技術と無線技術を用いたRFIDタグ「マジックストラップ」を活用したプリント基板向けRFIDソリューションを展示した。今回は開発中の金属対応タグ(メタルタグ)も初公開した。
同社のマジックストラップは、アンテナを一体化するなど、システム設計を容易にしている。しかも、製品によっては外形寸法がアンテナ一体型で2.0×1.25mmと極めて小さい。対応する周波数帯は、近接エリア向けのHF帯(13.56MHz帯)と、数メートル離れた距離からでも読み取ることができるUHF帯(860MHz帯ないし920MHz帯)の2種類を用意している。
今回新たに、マジックストラップのファミリーとして、金属対応タグ「オンメタルシリーズ」を追加した。詳細な技術仕様などについて、会場では明らかにしなかった。展示した開発中のメタルタグの外形寸法は5.5×2.3×2.5mmなどである。
従来のタグは、近くに金属があると、RFIDリーダー、ライターからのエネルギーが金属に吸収されて正常に動作しないことがある。このため樹脂成形したRFIDタグなどが一般的に用いられている。今回は、これらの課題を解決したという。食品工場における商品トレーサビリティ用途などでメタルタグのニーズが高いことから、「2017年中をめどに量産を始めたい」(説明員)と話す。
村田製作所は2017年6月に、イタリアID-Solutionsの買収を完了した。この会社はRFIDのシステムインテグレーターである。関連するミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどの開発も行っている。企業買収など一連の戦略によって、ユーザーにおけるRFIDシステムの構築を、トータルに提案、サポートしていく体制を、一段と強化する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人の位置と数を検知、オムロンの人感センサー
オムロンは、「Smart Sensing 2017」で、人の位置や人数を検出することができる画像型人感センサー(HVC-F)を参考展示した。空調機器や照明器具の制御を、より効率的に行うことが可能となる。 - ソニーが独自LPWAを展示、100km超の通信を実現
ソニーセミコンダクタソリューションズは、「Smart Sensing 2017」で、独自開発の低消費電力広域(LPWA:Low Power Wide Area)ネットワーク技術について紹介した。2017年4月に発表したもの。極めて遠い距離や高速移動中の車両からでも安定した無線通信が行える。こうしたいくつかの実験データを示した。 - 京セラがSIGFOXのデモ、水道検針や物流で需要
京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は「Interop Tokyo 2017」で、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの1つである「SIGFOX」のデモを披露した。さらに、SIGFOXのエコシステムパートナーのアイ・サイナップは、KCCSのブースにて、SIGFOXに対応したデバイスやモジュールを展示した。 - 村田製作所がイタリアのRFIDインテグレーターを買収
村田製作所は2017年6月、イタリアのRFIDシステムインテグレーターであるID-Solutionsの買収を完了したと発表した。 - 有機CMOS回路で、高速/高集積化に成功
トッパン・フォームズや富士フイルム、パイクリスタルなどの研究グループは、印刷技術で製造できる有機半導体CMOS回路について、より高速な動作が可能で、集積度を高めることができる技術を開発した。 - Society5.0の推進へ――JEITAベンチャー賞が発表
電子情報技術産業協会(JEITA)は、第2回「JEITAベンチャー賞」の受賞企業7社を発表した。受賞した企業がJEITA正会員として入会する場合、協会会費の負担を2年間免除する制度も新設した。