オンセミ、日本で“パワーデバイスリーダー”目指す:ON Semiconductor日本法人 社長 滝口修氏(2/3 ページ)
2017年3月にON Semiconductor日本法人社長に就任した滝口修氏にインタビューし、日本での成長戦略、事業戦略について聞いた。
旧Fairchild製品、イメージセンサー、産業向けに期待
EETJ 10%の売り上げ比率に向けて、成長を期待されているビジネス領域はどの辺りでしょうか。
滝口氏 特に成長が見込める領域としては、旧Fairchild製品ビジネス、イメージセンサービジネス、産業分野向けビジネスの3つを想定している。
旧Fairchild製品については、これまでサポート体制などの問題でグローバルでは実績のある車載向け製品の提案、販売を日本に限って行ってこなかった。買収により、十分なサポートを提供できる体制が整ったため、日本でも提案を開始し、現状良い引き合いを得ている。
イメージセンサービジネスについては、旧Aptina Imaging(=2015年6月買収)時代から、日本の車載市場、産機市場に深く浸透し、高いシェアを有している。シェアを守る立場にあるものの、自動運転に向け車載用のイメージセンサー需要は大きく拡大する見通しであり、大きな成長が期待できる。車載向けについては、イメージセンサーのみならず、モーター駆動用デバイス、パワーデバイスの需要増も見込める。
EETJ 産業分野向けビジネスについては?
滝口氏 日本の営業、マーケティングを担う日本法人オン・セミコンダクターの課題の1つとして、“オンデマンド(注文対応)型”の営業スタイルになっていた点が挙げられる。この受け身の営業スタイルを能動的に変えていくことで、産業分野で需要があるパワーディスクリートなど標準品の販売規模を拡大できると考えている。
EETJ 具体的にどのような営業活動を展開されるのですか。
滝口氏 まだ、入社3カ月であり、まだまだ着手できていることは少ないが、システム提案力の強化や、営業人員の増員、販売代理店が積極的な販売を行えるようなツール、環境作りを進めているところだ。
日本法人オン・セミコンダクターには、営業組織だけでなく、リファレンスの開発、顧客に対しエンジニアリングサポートを提供する“ソリューション・エンジニアリングセンター”を有している。同センターのリソースをさらに有効活用し、日本の顧客に向けたリファレンスボードの開発なども積極的に行う。
群馬、新潟拠点との連携強める
EETJ さまざまな外資系半導体メーカーでの勤務されてきた中で、ON Semiconductorの強みはどの辺りにあると思われますか。
滝口氏 ON Semiconductorは、毎年1社以上のペースで半導体メーカーの買収を繰り返し、非常に豊富でバランスの良い製品群、技術を持っている。また経営のスピードが驚くほど速いことも強みだろう。
また、日本に限れば営業、マーケティング機能に加え、三洋半導体を母体とする製品設計開発子会社「システム・ソリューションズ」(群馬県大泉町)と製造子会社「オン・セミコンダクター新潟」(新潟県小千谷市)を有している点は大きな利点だ。例えば、品質保証においては、オン・セミコンダクター新潟のテスト設備を活用し、国内で不良解析を完結できる。こうした体制を日本国内で持つ外資系半導体メーカーはほとんどない。
EETJ かつては旧三洋半導体の事業領域はビジネスユニット(BU)「システム・ソリューションズ・グループ(SSG)」として単独で存在していました。しかし、2016年9月以降は、SSGの各ビジネスは、パワーソリューションズグループ(PSG)、アナログソリューションズグループ(ASG)、イメージセンサグループ(ISG)に分割、再編されました。この組織は、連携を図る上で障害になりませんか。
滝口氏 むしろ逆で、組織再編により販売子会社であるオン・セミコンダクターと、群馬の拠点とも連携が図りやすくなったと考えている。というのも、独立したBUよりも、各BUの機能を持つことによりON Semiconductorとしてのインテグレーションが進み、より一体となった。実際、群馬の拠点では、これまで手掛けてこなかった車載向けカスタムSoC(System on Chip)の設計開発をこのほどスタートさせた。BUの枠にとらわれないビジネス展開が可能になり、日本の顧客に対しても、より大きな利点を提供できるようになった。
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