パッケージング産業の再編成(後編):福田昭のデバイス通信(116)(1/2 ページ)
今回は、パッケージングの組み立て工程(後工程)に関する市場規模などに触れつつ、パッケージ組み立て請負サービス企業(SATS)の再編成について紹介する。
前編の追加訂正
まず、前編の追加訂正から始めたい。日系のIDMから海外のパッケージ組み立て請負サービス企業(SATSあるいはOSAT)への後工程の譲渡事例に追加情報があることが判明した。2014年2月に、パナソニックが後工程担当の海外子会社(シンガポール、インドネシア、マレーシア)をシンガポールのSATS企業UTAC(United Test and Assembly Center Singapore)の香港子会社に譲渡することを取締役会で決議していた。
そこで前編の図版の一部を以下のように追加訂正する。
パッケージング産業の市場規模は5兆円強
パッケージングの組み立て工程(後工程)に関する市場規模を、市場調査会社のGartnerが公表している。少し古いデータになるが、2013年の市場規模が497億6570万米ドル、2014年の市場規模が531億8220万米ドルと推定している。世界全体で、おおよそ5兆円強の市場が存在すると分かる。
この市場規模は、パッケージング工程とテスト工程の両方を含んでいる。パッケージング工程だけでみると、2013年に約392億米ドル、2014年に約420億米ドルとなる。またこの数値は、垂直統合型半導体メーカー(IDM)による市場と、パッケージ組み立て請負サービス企業(SATSあるいはOSAT)による市場を含んでいる。SATSの割合は約50%であり、わずかながらも上昇傾向にある。
パッケージング請負市場の成長は鈍化
SATS市場の成長は鈍化しつつある。Gartnerが2016年にまとめた予測値によると、1997年〜2003年の年平均成長率(CAGR)が12.6%であったのに対し、2003年〜2010年のCAGRは10.6%とやや低下した。2010年〜2020年のCAGRはわずか2.8%に鈍化するとGartnerは予測する。
このような低い成長率を予測する理由は、いくつかある。1つは、成長のけん引役となる分野が不在であること。2010年以前はIDMからSATSへの後工程の売却と譲渡がSATS市場の成長をけん引してきた。しかし2010年以降、この動きは鈍くなっている。
もう1つは、シリコン・ファウンダリがパッケージング組み立てに参入することでSATSと競合し始めたことである。例えばファウンダリ最大手のTSMCがウエハーレベルのパッケージング技術を開発し、提供し始めた。この結果、TSMCと長期間に渡ってパートナーシップを結んできたSATS最大手のASE(Advanced Semiconductor Engineering)は、少なくない痛手を被った。
さらに、年率2%〜5%の割合で過去20年間にわたって続いてきた値下がりが、今後も続くであろうことだ。
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