パッケージング産業の再編成(後編):福田昭のデバイス通信(116)(2/2 ページ)
今回は、パッケージングの組み立て工程(後工程)に関する市場規模などに触れつつ、パッケージ組み立て請負サービス企業(SATS)の再編成について紹介する。
SATS企業の買収や事業統合が活発に
SATS市場の成長率が鈍化しつつあるのと同期するかのように、SATS企業の再編成が活発になってきた。2015年の時点で、SATS企業の売上高ランキングは以下のようになっていた。トップは台湾のASE、2位は米国のAmkor Technology、3位は台湾のSPIL(Siliconware Precision Industries)、4位は中国のJCET(Jiangsu Changjiang Electronics Technology)、5位は台湾のPowertech Technology、6位はシンガポールのUTAC、7位はシンガポールのSTAS ChipPAC、8位はジェイデバイス、などとなっている(市場調査会社Gartnerの2016年4月時点の推定値)。
これらのSATS企業大手で最近、企業買収や事業統合などが相次いだ。2015年1月には、中国のJCET(2015年のランキング4位)が、シンガポールのSTAS ChipPAC(2015年のランキング7位)を買収することで合意した。
2016年1月には、米国Amkor Technology(同ランキング2位)がジェイデバイス(同ランキング8位)を完全子会社化したことを発表した。それまでのAmkorによる株式保有比率は65.7%だったのを、2015年12月末に100%に引き上げた。
同じ2016年の5月には、台湾のASE(同ランキング首位)とSPIL(同ランキング3位)が事業統合で合意した。持ち株会社を設立し、ASEとSPILは持ち株会社の子会社として事業を継続する。
そして今年(2017年)2月には、AmkorがポルトガルのSATS企業NANIUMを買収することで合意したと発表した。NANIUMは欧州で最大のSATS企業であり、FOWLP(Fan-Out Wafer Level Packaging)を手掛けている。
SATS企業同士による企業買収や事業統合などの動きは、しばらくは止まらないだろう。大手企業を中心とする、いくつかのグループへとまとまっていくように見える。
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