Wi-RANで多段中継、多地点から同時に情報収集:広域の超ビッグデータを収集(1/2 ページ)
京都大学の原田博司教授らは、広域系Wi-RAN(Wireless Regional Area Network)システム用の無線機を用いて、無線多段中継伝送による多地点同時映像情報収集の基礎試験に成功した。
マルチホップ中継方式のファームウェアを新たに開発
京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授と日立国際電気の加藤数衞氏による研究グループは2017年6月、IoT(モノのインターネット)機器からのデータ収集と制御を行う広域系Wi-RAN(Wireless Regional Area Network)システム用無線機を用いて、無線多段中継伝送による多地点同時映像情報収集の基礎試験に成功したと発表した。1つの長距離無線回線を使い、無線機同士が見通せない広域の利用環境の中で、遠隔地と中継地の情報を同時に収集することが可能となる。
原田氏らは、自らがプログラムマネージャーを務める「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」において、膨大な情報を活用するための「超ビッグデータプラットフォーム」構築を目指している。これを構成する要素の1つが広域系Wi-RANシステムである。これまで、情報通信研究機構が国際標準化に取り組み、京都大学が受信方式を開発した。日立国際電気は、情報通信研究機構からの技術移転により無線機を開発、共同で実用化を行ってきた。
今回開発したシステムは、これまで無線機を2台用いていた無線多段中継を、1台で実現する。その上、新たに開発したマルチホップ中継方式のファームウェアを実装した。これによって、遠隔地で収集した情報を単に中継するだけでなく、中継を行う無線機自体が収集した情報も、追加して転送することが可能となった。さらに、中継接続した各無線機の通信状態とGPS情報を基地局で収集し、無線機の状態を視覚的に表示できる回線監視サーバも開発した。
ファームウェアが実装されたWi-RAN無線機は、利用シーンに応じて端末局や中継局、基地局になることができるという。研究グループは、開発した無線システムを用いて、京都市内で実証実験を行った。
京都市役所の協力を得て実施した無線通信の実験では、京都市役所に基地局(BS)、京都大学に中継局(RS1)をそれぞれ固定設置し、端末局(RS2)を車上に取り付けて映像の伝送実験を行った。
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