集約進むタッチパネル市場、生き残りの鍵は2つ:ディスプレイ総覧2017(2)(1/3 ページ)
市場の淘汰(とうた)が進みつつあるタッチパネル市場を取り上げる。タッチパネルの主力用途であるスマートフォン市場の成長が鈍化していく中で、タッチパネルメーカーが生き残って行くためのキーポイントを見ていく。
市場調査会社であるIHS Markit テクノロジーのアナリストがディスプレイ、パネル産業を分析、展望するセミナーイベント「IHS ディスプレイ産業フォーラム」が2017年7月27〜28日の2日間、開催される。EE Times Japanでは、同フォーラムに登場予定のIHSマークイットテクノロジーのアナリストにインタビューし、連載「ディスプレイ総覧2017」としてフォーラムよりも一足先にディスプレイ、パネル産業の現状とこれからをお届けしていく。
連載第2回のテーマはタッチパネルだ。IHS Markit テクノロジー 主席アナリストを務める大井祥子氏に聞いた。
タッチパネル市場のこれまで
タッチパネル産業は元々、技術的に参入障壁が高くない産業といえる。古い液晶用カラーフィルター製造装置をタッチパネルのガラスセンサー製造に転用でき、初期投資が低く抑えられるなどの点で、タッチパネル市場が立ち上がる時期からさまざまなメーカーが参入を果たしてきた。
タッチパネル市場ではずっと過当競争の状況が続いてきたのだが、スマートフォンの成長によりタッチパネル市場の規模自体が大きく拡大してきたために、多くの参入メーカーが事業をそれなりに維持できた。
先行してきた日本勢や台湾勢は、薄く、透過性の高いタッチパネルが求められるハイエンドスマートフォン向け、中国勢はコスト要求の強いローエンドスマートフォン向けというすみ分けもできていた。
しかし、タッチパネルが依存するスマートフォン自体の成長が頭打ち状態に近づいてきたために、タッチパネル市場全体にも影響が及び、成長率が低下している。加えて、スマートフォンの成長余地は、ハイエンドからローエンドと移った。スマートフォンの技術的なイノベーションも期待しにくい状況で、タッチパネル自体にも技術革新余地がなくなってきた。
従って、これまで以上にタッチパネル市場はコスト重視の市場になっている。
これからタッチパネル市場に起こること
スマートフォンの成長鈍化でタッチパネル市場の過当競争が表面化してきたことで、タッチパネルメーカーの淘汰(とうた)が進んで行くことになる。
既に、タッチパネル事業の不振だけが理由ではないが、2014年にタッチパネル最大手を争うメーカーの1社だった台湾のWintekが倒産している。最近でも台湾のTPKと中国のO-filmという最大手クラスの2社が資本提携を結ぶなど、最大手も含んで市場の集約が進んでいる。
整理、集約が進むタッチパネル市場で生き残って行くためのカギが2つあると考えている。
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