「無名」「ローエンド」だからと見下すな、中国チップセットベンダーの実力:製品分解で探るアジアの新トレンド(18)(1/3 ページ)
スマートフォン向けのチップセットで、日米欧メーカーの背中を追いかけてきた中国メーカー。デジタルだけでなくアナログ設計においても、その実力は確かだ。“追う者”の成長は速い。無名だから、ローエンドだからと高をくくっていると、あっという間に追い越され、引き離させてしまうだろう。
実は採用が多い、“メジャーどころ”以外のチップセット
LTEモデムとAndroid OSに対応したプロセッサを搭載するスマートフォンやタブレットは無数に販売されている。その多くはQualcommないしMediaTekのチップセットが活用されている。しかし、一部では専用チップセット/プラットフォームを用いる端末も存在する。
Samsung Electronicsのスマートフォンには、Samsung自らが開発した専用プロセッサ「Exynos」を使用している。同様にHuaweiは上位機種にHuawei傘下の半導体メーカーHiSiliconのチップセット「Kirin」を用いている。これ以外にも、Appleの「iPhone」のように、アプリケーション・プロセッサだけ自社製とし、LTEなどの通信用モデムをQualcommやIntelから調達するという組み合わせも存在する。
スマートフォンの成熟が語られる現在、多くのスマートフォン/タブレットのチップセットは上記メーカーによって「完全に支配されてしまった」と一般には認識されている。
しかし実際には、上記以外のメーカーが作るチップセットを活用する製品も多々存在しているのだ。
図1は、Huaweiが世界各地で販売する7型タブレット「MediaPad LTE」の外観および分解の様子である。
MediaPadはOSにAndroidを用い、LTE通信のCat.4(カテゴリー4)機能を有する廉価版タブレットだ。高度なグラフィック能力こそ備えていないものの、Web閲覧やメールなどで使う分には十分な性能を持っている。販売価格は日本でも1万円台と、かなり安価だ。7型ディスプレイのスマートフォンよりも一回り大きなサイズであることから、使い勝手は良い。
筐体の大きさを生かして4100mAhという大容量の電池を搭載し、Huaweiでは48時間の連続使用(動画の場合は連続12時間)が可能だとアナウンスしている。長時間利用を可能にするために、Huawei独自の省エネルギー技術が使われているという。
図2は、MediaPad LTEを分解し、基板上の主要チップをピックアップした様子である(なおMediaPadには「MediaPad Pro」などさまざまなモデルが存在し、別モデルではQualcommのチップセットが使われる製品もある)
図2の通り、Spreadtrum Communications(以下、Spreadtrum)のチップセットが使われている。あまりなじみのないメーカーのチップだと思われるかもしれないが、中国や東南アジア(インドネシアやタイ、ベトナムなど)では多くのスマートフォンなどに採用されている。
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