“黄金の組み合わせ”が生み出す中国チップセットの新たな芽生え:製品分解で探るアジアの新トレンド(19)(1/3 ページ)
家庭用ゲーム機や全天球カメラ、IoT(モノのインターネット)機器には、「中国メーカーのプロセッサ+中国メーカーの電源IC」という組み合わせのチップが数多く搭載されている。これは、新しい形態のチップセットの1つといえるだろう。
中国で続々と発売されている全天球カメラ
2015年辺りから、アクションカメラ、ドライブレコーダーに続くカメラとして全天球カメラ、360°カメラが多くのメーカーから発売されている。有名な全天球カメラとしてはリコーの「RICOH THETA(シータ)」やコダックの「SP360」などがある。ドライブレコーダーでは前後カメラや4方向カメラなども多く発売されている。
全天球カメラの方式は大きく2つに分かれている。1つは魚眼レンズを用いて単眼カメラで広角の映像を捉える方式(コダックのSP360はこの方式だ)、2つ目は複数のレンズを用いて全方向の映像を合成でつなぎ合わせて全天画像を実現するものだ(RICOH THETAはこちらである)。こうした全天球カメラは、従来の映像とは大きく異なり、広角で臨場感のある画像を得られることからも、続々と新商品が発売されている。
今回扱うのは中国製の「XDV360」だ。XDV360の梱包箱、製品本体の外観、分解の様子を図1に掲載する。梱包箱にも内部の取り扱い説明書にも、社名はおろか、使い方のマニュアルも入っていない。マニュアルが必要な商品ではなく電源スイッチを押せば電源ON/OFFができ、録画ボタンを押せば録画のオン/オフができるという、ただそれだけの商品であるからだ。本体には0.96型ディスプレイとWi-Fiボタンも備わっている。
仕様は360°撮影ではなく、広角220°で1080@60fps(フレーム/秒)の動画、最大8Mピクセルの静止画を撮影でき、10カ国語の表示が備わっている(日本語は非対応)。スペイン語圏やロシアなどが主要なマーケットのようだ。本体の取り外し可能な側面カバーの下にはSDカードスロット、充電のためのUSB端子、画像出力のためのHDMI端子がある。電池の容量は1200mAhと大き目で、数時間の連続撮影が可能なようだ。
大きさは6cm程度。片手にすっぽり収まり、実際の商品には自転車のハンドルやクルマのダッシュボードに装着するためのスタンドキットも備わっている。いうなれば、一世を風靡(ふうび)したアクションカメラ「GoPro」の全天球カメラ版のような製品だ。
内部は、画像信号処理を行う基板にマイクロフォン、スピーカー、ディスプレイ、カメラユニットがつながっている。
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