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IoT機器の電池寿命を延ばす超小型の充電ICバッテリー消費電流を1/30以下に

トレックス・セミコンダクターは2017年8月8日、小型IoTデバイスやウェアラブル端末、スマートカードなど小容量のリチウム電池駆動機器に向けた充電ICとして、シンク電流(バッテリー消費電流)を従来比30分の1以下に抑えた「XC6808」を発売した。

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3カ月放置後の電池残量が2倍以上に


リニア充電IC「XC6808」。2.0×1.8×0.33mmサイズの超低背モールドパッケージ「USP-6B07」を採用 (クリックで拡大)

 トレックス・セミコンダクター(以下、トレックス)は2017年8月10日、20〜100mAhクラスの小容量リチウム電池で駆動する小型IoT機器やウェアラブル端末などに向けて、待機時の電池消耗を従来比2分の1以下に抑えることのできるリニア充電IC「XC6808」を発売した。リチウム電池から充電ICへのシンク電流(バッテリー消費電流)を従来比30分の1以下に抑えた。

 チャージャーICとも呼ばれる充電ICは、充電を行わない待機時でも入力と出力の電圧を比較するためのコンパレーターを動作させる必要があり、微量ながらバッテリーからの電力供給を受け電力を消費する。この待機時に消費するシンク電流(吸い込み電流)は、スマートフォンなどモバイル機器に搭載される充電ICであれば、2μAから3μA程度となっている。


待機時のバッテリー消耗イメージ。機器が動作していない状況でも、バッテリーの自己放電の他、バッテリー保護ICと充電IC(図左のブロック)への電力供給が続く。「待機時の電池消耗の3分の1程度は、充電ICのシンク電流が原因」(トレックス)という (クリックで拡大) 出典:トレックス・セミコンダクター

 「1000mAhを上回る容量のバッテリーであれば、数マイクロアンペア程度のシンク電流は、バッテリー寿命に大きな影響を及ぼさず、無視できる値だ。しかし、ウェアラブル機器や小型のIoTセンサー端末、スマートカードなどでは、40mAh程度の小容量のバッテリーが使用されており、シンク電流で数マイクロアンペアを消費してしまえば、機器が動作していなくても短期間で電池残量が尽きてしまう。ただ、小容量電池に特化した充電ICはあまり存在せず、主にスマートフォンなどモバイル機器向けの1セルリチウム電池用充電ICを使用せざるを得なかった」とする。

 そうした中でトレックスでは、20〜100mAhなどの小容量リチウム電池で駆動する機器をターゲットにした充電ICの開発に着手。第1弾製品としてシンク電流を0.5μA(500nA)にまで抑えた充電IC「XC6805」を2015年10月に製品化したのに続き、このほど0.1μA(100nA)のシンク電流を実現したXC6808を製品化した。


従来のモバイル機器向け充電ICとXC6808のバッテリー消費電流(シンク電流)の比較(左図)と、20mAh容量リチウム電池における満充電から3カ月間放置した後の電池残量比較(右図) 出典:トレックス・セミコンダクター

 従来のモバイル機器向け充電ICに比べ30分の1以下となるシンク電流を実現したことにより、20mAh容量リチウム電池搭載を満充電から3カ月間放置した際の電池残量は2倍以上になるという。「待機時間の割合が長い機器や倉庫での保管期間が長い機器で、スタンバイ時間の延長に貢献できる」とする。

 XC6808は、昨今のリチウム電池の充電完了電圧の高電圧化に対応。充電完了電圧として、従来の4.20Vだけでなく、4.35V、4.40Vにも対応し、幅広いリチウム電池用充電ICとして使用できる。


充電IC「XC6808」の概要 (クリックで拡大) 出典:トレックス・セミコンダクター

 さらにXC6808は、2.0×1.8×0.33mmサイズの超低背モールドパッケージ「USP-6B07」を採用。「パッケージの高さを0.4mm以下に抑える必要のあるスマートカードにも実装可能。補聴器や完全ワイヤレス型イヤフォンなど小型パッケージが要求される用途などにも適した充電IC」とする。

 XC6808は既に量産中。サンプル価格は100円(税別)となっている。

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