PCB市場は堅調に成長、スマホ向けに新技術も:iPhoneなどがけん引役(1/2 ページ)
富士キメラ総研は、2017年4〜7月にかけてプリント配線板(PCB)やパッケージ、実装関連装置の市場を調査し、その結果をまとめた報告書を発表した。これらの市場のけん引役はスマートフォンで、特に高密度実装が求められるハイエンドスマートフォン向けに、新しいPCBやパッケージング技術が登場していて、今後、成長すると期待されている。
実装関連市場、スマートフォンがけん引役なのは変わらず
富士キメラ総研は2017年8月17日、半導体パッケージやプリント配線板とその材料、実装関連装置の市場調査結果を発表した。同社は、プリント配線板8品目、プリント配線板関連材料10品目、半導体パッケージ関連材料8品目、実装関連装置9品目、熱およびノイズ対策材料5品目など、計48品目の市場について調査し、その結果を報告書「2017 エレクトロニクス実装ニューマテリアル便覧」にまとめた。調査期間は2017年4〜7月である。
2017年の半導体実装関連市場は、ハイエンドスマートフォン、中国メーカーのスマートフォン、白物家電の生産が好調で、プリント配線板およびその関連材料、実装関連装置、熱およびノイズ対策材料において、拡大が見込まれるという。
半導体パッケージ関連材料は、ボンディングワイヤにおいて高価な金ワイヤから安価な銅ワイヤや銀ワイヤ、アルミワイヤに移行することもあり、数量ベースでは増加する品目が多いものの、市場規模としては縮小が見込まれるとしている。
富士キメラ総研によれば、これまで実装関連装置の市場に大きく貢献したのはスマートフォンだった。2018年以降、スマートフォンの生産の拡大ペースは鈍化することが予想されるが、実装関連装置市場をけん引する主要な用途であることは変わらないとみられるという。特に、ハイエンドスマートフォンでは実装の高密度化に対するニーズは、引き続き高まっており、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)や、MSAP(Modified Semi-Additive Process)混載エニーレイヤータイプのビルドアップ基板*)がメイン基板に採用されるなど、新しい技術が進展しているとする。
*)エニーレイヤータイプのビルドアッププリント配線板は、ベースタイプに比較して高密度実装や配線の微細化が可能であり、ハイエンドのスマートフォンで採用されている。さらに、薄型、ファインピッチ配線対応として、MSAP工法を一部の配線層に導入したものが、「MSAP混載エニーレイヤー」タイプのビルドアッププリント配線版だ。2017年に量産が開始された。
ローエンド製品向けも堅調だ。電解銅箔はリチウムイオン電池向けのニーズが旺盛で、プリント配線板向けの需要がタイトになっている。メーカーでは生産能力増強の予定もあり、2018年ごろから徐々に解消されるとみられるが、現時点では電解銅箔のみならずプリント配線板関連材料全体も値上がりしており、金額ベースでは市場が伸びているという。
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