「AIは最も破壊的な技術領域に」 Gartnerが分析:今後10年にわたり
Gartner(ガートナー)は、「先進テクノロジーのハイプサイクル:2017年」を発表した。この中で、今後10年にわたってデジタルビジネスを推進する3つのメガトレンドを明らかにした。
2000件を上回るテクノロジーの中から重要な知見を抽出
米国の市場調査会社Gartner(ガートナー)は2017年8月23日、「先進テクノロジーのハイプサイクル:2017年」を発表した。この中で、企業が今後10年にわたってデジタルビジネスを推進し、成功するために必要となる3つのメガトレンドを明らかにした。
3つのトレンドとは、「どこでも人工知能(AI)となる世界」「透過的なイマーシブエクスペリエンス」および、「デジタルプラットフォーム」である。2000件を上回るテクノロジーの中から重要な知見を抽出し、注目すべき技術やトレンドとしてまとめた。
ガートナーは、「今後10年にわたって、AIは最も破壊的な技術領域になる」と分析する。その背景として、急成長するコンピューティングパワー、無限大に増加するデータ、進化を続けるディープニューラルネットワークを挙げた。また、これらに必要となる技術領域として、「ディープラーニング」「深層強化学習」「汎用AI」「自律走行車」「コグニティブコンピュータ」「ドローン」「会話型ユーザーインタフェース」などを示した。
技術の進化は、これからも人間中心型となり、「人」「ビジネス」「モノ」の関係が、透過的に、より密接に絡み合うと予測する。ここでは、「4Dプリンティング」「拡張現実(AR)」「ブレインコンピュータインタフェース」「コネクテッドホーム」「ナノチューブエレクトロニクス」「仮想現実(VR)」といったコア技術が必須となる。
デジタルプラットフォームは、必要なデータ量や高度なコンピューティングパワー、偏在性(ユビキタス)に対応するエコシステムの提供が求められている。このため、区分化されたこれまでの技術基盤から、新しいビジネスモデルに向けた技術基盤に移行するという。この領域では、「5G(第5世代移動通信)」「デジタルツイン」「エッジコンピューティング」「ブロックチェーン」「IoT(モノのインターネット)プラットフォーム」「ニューロモルフィックハードウェア」などを重要なテクノロジーとして挙げている。
発表した「先進テクノロジーのハイプサイクル:2017年」は、ガートナーのTrend Insightレポート「2017 Hype Cycles Highlight Enterprise and Ecosystem Digital Disruptions」の一部である。先進テクノロジーに関する詳細な情報は、「Hype Cycle for Emerging Technologies,2017」の中で顧客に提供された。
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