富士通ら、光送受信技術と光変調伝送技術を開発:最高レベルの伝送密度を実現(1/2 ページ)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と富士通は、世界最高レベルの伝送密度を実現する光送受信技術と、高速省電力の光変調伝送技術を開発した。サーバの処理速度を大幅に改善できる技術だという。
プロセッサ間の伝送帯域を従来の2倍に
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と富士通は2017年9月、世界最高レベルの伝送密度を実現する光送受信技術と、高速省電力の光変調伝送技術を開発したと発表した。サーバの処理速度を大幅に改善できる技術として期待される。
サーバシステムでは、データ処理の性能や効率を高めるために、多数のプロセッサを接続して、膨大かつ複雑な演算を高速に実行する方式が採用されている。このため、プロセッサ間では光通信技術などを応用して、より高速なデータ伝送が求められている。
PETRAと富士通および、富士通研究所は今回、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトにおいて、データ伝送容量の拡大に向けた高密度、小型光送受信器技術と、高速、省電力送信器技術の開発に取り組んだ。今回開発した高密度の光送受信器を複数個、プロセッサの近くに配置すれば、従来の伝送帯域の2倍となる、約2Tビット/秒の光伝送が可能になるという。
成果の1つが、「シリコンフォトニクス光送受信技術」である。開発した光回路はダイサイズが8×9mmで、400Gビット/秒の動作が可能である。この光回路は、16個の光変調器を配列した光送信部と、16個の受光器を並べた光受信部で構成されている。
特に、リフトオフと呼ばれる方法を用いて、光源となるレーザー素子を搭載するための端子を形成した。これによって、レーザー素子用と駆動電子回路用の異なる2種類の端子をシリコンフォトニクス上に形成することが可能となった。実装時にレーザー素子と駆動電子回路および、光信号の入出力を行う光ファイバーが互いに干渉しないよう、光回路の構成も工夫した。
PETRAはこれまで、駆動電子回路を用いてガラスセラミックインターポーザとシリコンフォトニクス光回路をブリッジ状に接続する実装構造を開発してきた。この高密度電気インタフェース技術を、今回の光送受信器にも適用した。これにより、電気信号、電源を高密度かつ高品質に供給することが可能となった。光回路の送信部と受信部間にはシールド構造を導入することで、電気的干渉による受信性能の劣化を防いでいる。
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