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反強誘電体とは何か:福田昭のストレージ通信(80) 反強誘電体が起爆するDRAM革命(1)(2/2 ページ)
強誘電体の新材料である二酸化ハフニウムは、実は条件次第では「反強誘電体(Antiferroelectrics)」になる。今回から、この反強誘電体を不揮発性メモリに応用する研究について解説していこう。
反強誘電体は残留分極を持たない
強誘電体に電圧(電界)を印加すると分極が生じるのと同様に、反強誘電体に電圧を印加すると分極が生じる。ただしその様相は、両者でかなり違う。
強誘電体の場合は、電界を強めるとともに分極が大きくなり、電界をゼロにしても、最大値にかなり近い分極が残る。この残留分極が、強誘電体の大きな特徴であり、不揮発性メモリの原理でもある。分極をゼロにするためには、反対方向の電界をある程度、加えなければならない。
これに対して反強誘電体の場合は、電界を強めるとともに分極が大きくなるものの、電界をゼロにすると分極はほぼゼロになる。残留分極は持たない。ただし、電界を強めるときには分極がなかなか大きくならず、電界を最大にしてから弱めていくときには分極がなかなか小さくならない。ヒステリシス(履歴)効果がある。このため電界と分極が作る曲線は、2つのひし形をつなげたようなユニークな形状(「バタフライ曲線」とも呼ばれる)になる。
反強誘電体は残留分極がない。そのままでは不揮発性メモリとはならないし、普通は不揮発性メモリにしようとは考えない。ところが、二酸化ハフニウム系強誘電体を発見したFraunhofer Instituteを中心とするグループは、ある工夫を加えると、反強誘電体キャパシターに不揮発性を持たせられることを発見した。詳しくは次回で説明しよう。
(次回に続く)
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