検索
特集

MIPSの行方、生き残りの道はあるのか売却先は決まったが(1/2 ページ)

Imagination Technologiesは、MIPS事業を、米国資本のTallwood Venure Capitalに売却することを発表した。「MIPSは旧式のアーキテクチャ」という見方が強い中、生き残りの策はあるのだろうか。

Share
Tweet
LINE
Hatena

MIPSを欲しがるのは誰なのか

 英Imagination Technologies(以下、Imagination)は2017年9月22日(現地時間)、中国資本の米Canyon Bridge Capital PartnersにMIPS事業を除く全事業を売却することと、米国資本のTallwood Venure CapitalにMIPS事業を売却することに合意したと発表した。業界の観測筋は、この状況に困惑を隠せないようだ。

 「誰がMIPSを欲しがるのか?」と考えているのである。

 米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでシニアアナリストを 務めるMike Demler氏は、「“MIPSは旧式のCPUアーキテクチャだ”というのが一般的な見方だ」述べている。

 筆者の同僚であるRick Merritt氏も、「MIPSにはエコシステムがほとんどない。最近は、ARMとx86がほぼ100%を占めている」と述べている。

 では、中国では少し事情が違うのだろうか。

 中国・深川のEE Times Chinaの同僚の1人に中国でのMIPSの最近の状況について尋ねたところ、「MIPSコアは主流ではない」という答えが返ってきた。彼女は、「BLX IC Design(MIPSベースのCPU「Loongson」を開発)や、Actions Semiconductor、Ingenic Semiconductorなどの中国のファブレス半導体ベンダーはまだMIPSを採用しているが、中国のMIPSエコシステムは少数の企業に限定されている」と述べている。

 ARMベースのリファレンスデザインが普及したことで、中国の設計エンジニアは簡単にARMに移行できるようになった。「ARMへの移行による成功事例は非常に多い」と彼女は付け加えた。

 控え目に言ったとしても、MIPSは市場の勢いを失っているようだ。

 MIPSは5年前には既に、“時代遅れの旧式のCPU”と考えられていた。

 CEVAとImaginationは2012年後半にMIPSの買収で争っていた。当時、多く業界関係者が、「Imaginationは、年間売上高が6000万米ドルと採算の取れないMIPS事業を買収して何をするのだろうか」と疑問を感じていたという。しかし、Imaginationが1億米ドルもの高値でMIPSを買収した時、「これほど高額で買収するということは、MIPSは同社の将来にとって重要であるに違いない」という見方もあった。

 Imaginationの経営陣は当時、MIPSの戦略的な重要性を評価していたのかもしれないが、結局のところ、MIPSコアとそのロードマップに対する判断を誤ったと言わざるを得ない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る