車載分野に本腰を入れるGLOBALFOUNDRIES:新たなビジネスモデルの構築へ(1/2 ページ)
GLOBALFOUNDRIESが、新たな自動車プラットフォームである「AutoPro」を発表した。車載分野向けの技術提供に本腰を入れるGLOBALFOUNDRIESは、ティア1や半導体メーカーではなく、自動車メーカーと直接パートナーシップを結ぶという、これまでになかったビジネスモデルを築こうとしている。
自動車向けの新プラットフォーム
2017年10月10〜12日、多くのエンジニアらがドイツ・ミュンヘンで開催された、NVIDIAのイベント「GTC(GPU Technology Conference) Europe 2017」に集結したが、全員が全員、GTC Europeに出席したとはもちろん限らない。GLOBALFOUNDRIESも同年10月13日、NVIDIAに対抗するかのように、同じミュンヘンで「GTC(GLOBALFOUNDRIES Technology Conferende) Munich 2017」を開催していたからだ。
NVIDIAとGLOBALFOUNDRIESがいずれも、ドイツの自動車エンジニアらのマインドシェアを狙っていることは明らかだ。世界第2位のファウンドリーであるGLOBALFOUNDRIESは、新たな自動車プラットフォームである「AutoPro」を発表した。このプラットフォームを用いると、自動車メーカーにあらゆる種類の技術と製造サービスを提供できるようになるという。
GLOBALFOUNDRIESのCMOS事業部門でシニアバイスプレジデントを務めるGregg Bartlett氏が、EE Timesに語ったところによると、同社は、自動車分野で新たな顧客を探しているという。
自動車メーカーと直接パートナーシップを締結
GLOBALFOUNDRIESの新たな顧客として、Audi(アウディ)が挙げられる。Audiの半導体戦略を率いるBerthold Hellenthal氏は、GLOBALFOUNDRIESのプレスリリースの文言を引用しつつ、「比類のないモビリティ体験を実現するには、半導体製造を手掛ける強力なパートナーが求められる。その必要性はかつてないほどに高まっている。GLOBALFOUNDRIESの車載部品向けサービスは、革新的な技術と製造能力に注力したものであり、自動車業界にとって大きな意味を持つだろう。当社が次世代のカーエレクトロニクスを早期に、かつ信頼できる形で実現するには、GLOBALFOUNDRIESとのパートナーシップは不可欠である」と述べた。
だが、GLOBALFOUNDRIESがティア1サプライヤーやSoC(System on Chip)ベンダーを飛び越えて、自動車メーカーと直接、パートナーシップを結んだのはなぜだろうか。ファウンドリーと自動車メーカーが直接手を組むのは、従来のビジネスモデルではみられなかった動きである。Bartlett氏は、「その通りだ。だからこそわれわれは、極めてエキサイティングな時代が来たと考えている」と述べた。
「自動車メーカーは、GLOBALFOUNDRIESに一体何を期待しているのか」との質問に対し、Bartlett氏は「自動車メーカーは、半導体、車載規格に準拠した部品はもちろん、自分たちが開発しているシステム向けに設計されたASICをターンキーで入手できる方法を探している」と述べた。
AutoProのサービスパッケージには、SiGe(シリコンゲルマニウム)やFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)、CMOS、最先端FinFETに至るまで、あらゆる技術に加え、幅広いASIC設計サービス、パッケージング、IP(Intellectual Property)が含まれている。
Bartlett氏は「当社には、レーダー、ライダー、コンピュータビジョン向けの製品群から、48V系をサポートするパワートレイン向けの高電圧製品まで、さまざまな強みがある。さらに、ADAS向け製品を7nm FinFETプロセスで製造するロードマップもある」と説明した。
GLOBALFOUNDRIESはまた、AutoProサービスパッケージが、同社の実績ある品質と運転制御に基づいて構築されていることも誇っている。同社は、「当社は、ISOやIATF(International Automotive Task force)、AEC(Automotive Electronics Council)、ドイツのVDA規格で定義される厳しい自動車品質要件に対応するために顧客をサポートするインフラを備えている。顧客に必要なものを査定して、ソリューションを提供することができる」と述べている。
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