車載分野に本腰を入れるGLOBALFOUNDRIES:新たなビジネスモデルの構築へ(2/2 ページ)
GLOBALFOUNDRIESが、新たな自動車プラットフォームである「AutoPro」を発表した。車載分野向けの技術提供に本腰を入れるGLOBALFOUNDRIESは、ティア1や半導体メーカーではなく、自動車メーカーと直接パートナーシップを結ぶという、これまでになかったビジネスモデルを築こうとしている。
GLOBALFOUNDRIESの強みとは
しかし、こうした車載プラットフォームは、他のファウンドリーも提供しているのではないだろうか。
Bartlett氏は、「当社は数あるファウンドリーの中でも、特に高品質なサービスを提供できる」と主張する。同氏は、「当社の技術ポートフォリオと同様に幅広い車載プラットフォームを提供するファンドリーは、TSMCくらいしかない」と述べている。
GLOBALFOUNDRIESは、自動車メーカーやティア1サプライヤー、SoCメーカーにおいて、新規顧客の開拓を進めているという。Bartlett氏は、「車載技術メーカーは、システムにインテリジェンスをもたらし、ハードウェアとソフトウェアを切り分けて、コネクテッドカーで収集したシステムデータの保存場所や管理方法を決定する手法を模索するようになっている。こうした背景から、システムレベルでの議論の必要性が増している。当社には、顧客とこうした問題についてシステムレベルで話し合うことができる設計者がいる」と述べている。
Bartlett氏によると、GLOBALFOUNDRIESは数年前から、自動車に必要な設計の有効化や、複雑なIP、品質基準向けのリソースを開発しているという。Bartlett氏は、「当社は、IBM Microelectronicsの買収によってシステムレベルの設計者を多数獲得し、過去数年間でこうしたリソースを増強した」と説明している。
さらに、GLOBALFOUNDRIESは、SoCサプライヤーの製品を熟知し、ティア1サプライヤーの顧客企業と現地の言葉でコミュニケーションできる人材を新たに採用している。Bartlett氏はその一例として、2017年初めにMark Granger氏を雇用したこと挙げた。
Granger氏は、Texas Instrumentで17年間、「OMAP」プロセッサのロードマップと製品定義の開発プロジェクトに従事した人物だ。同氏は、ディープラーニングとAI(人工知能)の製品管理担当シニアディレクターとして、NVIDIAと協業するGLOBALFOUNDRIESに加わった。Granger氏は、GLOBALFOUNDRIES Technology Conferenceの講演者として登壇した。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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